浦安うらやす)” の例文
東京名物の一銭蒸汽の桟橋につらなって、浦安うらやす通いの大きな外輪そとわの汽船が、時には二そうも三艘も、別の桟橋につながれていた時分の事である。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
宮をあげてのせう篳篥ひちりき浦安うらやすまひ。國をあげての日章旗、神輿みこし、群衆。祝祭は氾濫し、ああ熱情は爆發した。轟けと、轟けとばかりに叫ぶ大日本帝國萬歳。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
下総しもうさの分だが、東葛飾ひがしかつしかだから江戸からは遠くねえ。まあ、行徳ぎょうとくの近所だと思えばいいのだ。そこに浦安うらやすという村がある。その村のうちに堀江や猫実ねこざね……」
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あゝ、だまだまり。——あの高橋たかばし汽船きせん大變たいへん混雜こんざつですとさ。——この四五年しごねん浦安うらやすつりがさかつて、沙魚はぜがわいた、まこはひつたと、乘出のりだすのが、押合おしあひ、へしあひ
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黄金わうごんの、浦安うらやすたへなるふうに。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
浦安うらやすの子は裸なり蘆の花
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
一日いちじつ深川の高橋から行徳ぎょうとくへ通う小さな汚い乗合のりあいのモーター船に乗って、浦安うらやすの海村に遊んだことがある。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
よそおいは違つた、が、幻の目にも、面影おもかげは、浦安うらやすみや、石の手水鉢ちょうずばち稚児ちごに、寸分のかはりはない。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大空を見ておどろかぬ浦安うらやす青人草あをひとぐさがこころ知らなく
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
……こいつみはづしてかはへはまると、(浦安うらやすかう、浦安うらやすかう)ときます。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
浦安うらやす神社でございますわ。」と、片手をたたみに、娘は行儀正しく答へた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)