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泥水
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どろみず
ふりがな文庫
“
泥水
(
どろみず
)” の例文
すぐに白い
泥水
(
どろみず
)
のようなものを飲まされて、むりやり口へゴム管を入れられ、ポンプみたような機械で、胃の中の物を吸い出された。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先月からの雨に
荒川
(
あらかわ
)
があふれたと見えて、川沿いの草木はみんな
泥水
(
どろみず
)
をかむったままに干上がって一様に情けない灰色をしていた。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
房枝は、あっといって、自分の服をあらためてみたが、いいあんばいに、べつにどこにも、
泥水
(
どろみず
)
がとんでいなかった。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一八二三年以来、モンフェルメイュの宿屋はしだいに非運に傾いて、破産の
淵
(
ふち
)
へというほどではないが、多くの小さな負債の
泥水
(
どろみず
)
の中に沈んでいった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして、ネズミたちがいってしまうと、はねから
泥水
(
どろみず
)
をはらい
落
(
おと
)
そうとでもするように、からだをゆすぶりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
▼ もっと見る
がしかしその実
泥水
(
どろみず
)
に
居
(
お
)
らなくとも泥水よりいっそう深き
穢
(
けが
)
れに心の染まれるものが世には多くありはせぬか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
だが僕はそのために君らを憎みはしない。君らはそういう人間だ。よかったらそのままでいるがいい。そして
泥水
(
どろみず
)
の中に
餌
(
えさ
)
を捜し回りたまえ。しかし僕は別れよう。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
今ではひろびろと
遮
(
さえぎ
)
るものなく望まれる曇った空は、暗い杉や松の梢の間から仰ぎ見た時よりも、一段低く、一段重く、落ちかかるように
濁
(
にご
)
った池の
泥水
(
どろみず
)
を圧迫している。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
他所では馬に引かす
犁
(
すき
)
を重そうに人間が引張って、牛か馬の様に
泥水
(
どろみず
)
の中を踏み込み/\ひいて行く。
労力
(
ろうりょく
)
其ものゝ画姿を見る様で、気の毒すぎて馬鹿〻〻しく、腹が立つ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
仕方なしに
泥水
(
どろみず
)
の中へとびこむと、その上へ、
後
(
あと
)
から何十人という人がどんどんおちこんで、下のものはおしつけられておぼれてしまうし、上の方にいた人は黒こげになって
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
小えんの如きはその例じゃないか? 昔から
喉
(
のど
)
の
渇
(
かわ
)
いているものは、
泥水
(
どろみず
)
でも飲むときまっている。小えんも若槻に囲われていなければ、浪花節語りとは出来なかったかも知れない。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
泥棒
(
どろぼう
)
のつける心配もない、風が吹こうが雨が降ろうが屋根が漏る心配も壁がこわれる心配もない、飢えては一わんの麦飯に舌鼓をうち、渇しては一杯の
泥水
(
どろみず
)
にも甘露の思いをなす、いわゆる
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
三疋とも、杭穴の底の
泥水
(
どろみず
)
の中に
陥
(
お
)
ちてしまいました。
蛙のゴム靴
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
泥水
(
どろみず
)
すすり
草
(
くさ
)
をかみ
少女と老兵士
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
土佐
(
とさ
)
の
高知
(
こうち
)
の
播磨屋橋
(
はりまやばし
)
のそばを高架電車で通りながら下のほうをのぞくと街路が上下二層にできていて
堀川
(
ほりかわ
)
の
泥水
(
どろみず
)
が遠い底のほうに黒く光って見えた。
三斜晶系
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
心と体とを別に考うることはすでに身を売る時より
行
(
おこな
)
わるる議論で、良家の
子女
(
しじょ
)
が
泥水
(
どろみず
)
に入る時も、たとえ
体
(
からだ
)
は
畜生
(
ちくしょう
)
同然になるも、心は親のため、主人のため
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼が戸口から出て、ダムの
破壊箇所
(
はかいかしょ
)
と反対の方向へ、二三歩走ったと思うと、庁舎は大きな音をたてて、
決潰
(
けっかい
)
ダムの下のさかまく
泥水
(
どろみず
)
の中へ、がらがらと落ちていった。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
沙金
(
しゃきん
)
を中に、雨雲のむらがるごとく、一団の殺気をこめて、
朱雀大路
(
すざくおおじ
)
へ押し出すと、みぞをあふれた
泥水
(
どろみず
)
が、くぼ地くぼ地へ引かれるようにやみにまぎれて、どこへ行ったか、たちまちのうちに
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すぐさまその書物を手放して、卑しい連中のまん中を通りすぎた。あたかも、きたない水たまりの中にはいってびっくりしてる——しかも
泥水
(
どろみず
)
のはね返りを少しも受けない——
猫
(
ねこ
)
のようなものだった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
艫
(
とも
)
のほうでは引っ切りなしに測深機を投げて船あしをさぐっている。とうとう船が止まった。推進機でかきまぜた
泥水
(
どろみず
)
が恐ろしく大きな
渦
(
うず
)
を作って潮に流されて行く。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして彼は、いやというほど
泥水
(
どろみず
)
をのまされた。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大津波が来るとひと息に洗い去られて生命財産ともに
泥水
(
どろみず
)
の底に埋められるにきまっている場所でも繁華な市街が発達して何十万人の集団が利権の争闘に夢中になる。
災難雑考
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“泥水”の意味
《名詞》
(どろみず、でいすい)泥が混じった水。
(どろみず)花柳界。
(でいすい)ロータリー式掘削作業中に用いる、水または油に特定の化学物質を調合した流体で、坑井内を循環させるもの。
(出典:Wiktionary)
泥
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
“泥水”で始まる語句
泥水清水
泥水稼業
泥水中
泥水社会