沈痛ちんつう)” の例文
ロッセ氏は、次第しだい沈痛ちんつうな表情に移っていって、しきりに唇をんでいる。私は、それをとりなそうにも、いうべき言葉を知らなかった。
沈痛ちんつう悲慘ひさん幽悽ゆうせいなる心理的小説しんりてきせうせつつみばつ」は奇怪きくわいなる一大巨人いちだいきよじん露西亞ロシア)の暗黒あんこくなる社界しやくわい側面そくめん暴露ばくろしてあますところなしとふべし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
哲学者じみた考えを持っていて、非常な勝気な男だ、真剣にえらいかどうか知れないが、とにかくいうことは奇抜で沈痛ちんつうだ。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
静かな空気の中を、えぐるような沈黙の数秒が流れたあと、朝倉先生の言葉が沈痛ちんつうにつづけられた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
前掲ぜんけいの老芸人の話では春琴の三味線を蔭で聞いていると音締ねじめえていて男が弾いているように思えた音色も単に美しいのみではなくて変化に富み時には沈痛ちんつうな深みのある音を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
沈痛ちんつう調子てうしう云ツて、友は其のはゞのあるかたそびやかした。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とゴルドンが沈痛ちんつうな顔をしてつぶやいた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
語氣ごきつよ沈痛ちんつうひゞきをびた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
沈痛ちんつう呻吟うめきこの時
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
僕の好奇心は火柱ひばしらのようにもえあがったけれど、博士の沈痛ちんつうな姿を見ると、かさねてうは気の毒になり、まあまあと自分の心をおさえつけた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
朝倉先生は沈痛ちんつうな眼をして
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
帆村は、ただ沈痛ちんつうな顔をしている。彼の胸の中には、他人にいえない何かのなやみがひそんでいるもののようであった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
皆がニコニコしているのにひきかえ、スミスただ一人、歯がいたみでもするような沈痛ちんつう面持おももちを見せていた。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)