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此願
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このねが
描かぬ
畫もおなじ
事御覽じ
知る
筈もあらねば
萬一やの
頼みも
無きぞかし
笑はるゝか
知らねども
思ひ
初し
最初より
此願ひ
叶はずは一
生一人で
過ぐす
心憂きに
送る
月日のほどに
思ひこがれて
死ねばよし
命が
若しも
無情くて
如何に
美るは
三郎さまと申のなり
此頃來給ひしは
和女が
丁度不在の
時よ一
ト足違ひに
御歸宅ゆゑ
知らぬのは
道理と
云ひかけてお
八重の
顏さしのぞき
此願ひ
若し
叶はゞ
生涯の
大恩ぞかし
諄うは
云はぬ
心は
是よと
合はす
手に
嬉しき
色はあらはれたり