“構(かまひ)” の例文
「兎も角も、あんな女は眼の毒ですね。御奉行樣にでもお願ひして、江戸構(かまひ)か遠島にでもして貰はなきや、神田中の若い男は氣が變になりますよ」
「どうぞお構(かまひ)下(くだ)さるな。なんでもありませんから。」セルギウスは殆ど目に見えぬ程唇の周囲(まはり)を引き吊らせて微笑みながら、かう云つた。そしてその儘勤行(ごんぎやう)を続けた。
用番老中水野越前守忠邦(ただくに)の沙汰で、九郎右衛門、りよは「奇特之儀(きどくのぎ)に付(つき)構(かまひ)なし」文吉は「仔細無之(しさいこれなく)構なし」と申し渡された。それから筒井の褒詞(ほうし)を受けて酉の下刻に引き取った。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
弥撒(ミサ)を行ふ間は、わが心自づと強く、身も緊(しま)つて、尊い葡萄酒の輝(かゞやき)は眼に満ちわたり、聖なる御油(みあぶら)に思も潤ふが、このわが廊堂の人げない処へ来ると、此世の疲(つかれ)に崩折(くづを)れて、跼(くゞ)まるとも構(かまひ)ない。
法王の祈祷 (新字旧仮名) / マルセル・シュウォッブ(著)
取れたるは自業自得(じごふじとく)と言べし此以後心を改め女色に迷(まよ)ふ事勿(なか)れと有て其餘(そのよ)は構(かまひ)なしと申渡され此事落着(らくぢやく)なしたりけり斯て其日未刻頃(やつどきごろ)吾助お兼の兩人は追放(つゐはう)に成しかば何を當(あて)に行べき方もなく品川宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私欲(しよく)に遣(つか)ひ候段(だん)不仁(ふじん)不義(ふぎ)の仕方(しかた)なり因て三ヶの津(つ)構(かまひ)の上中追放(ちうつゐはう)申付る又兼事(かねこと)は同罪とは申ながら元來(ぐわんらい)愚(おろか)なる生得(しやうとく)と相見え淺果(あさはか)なる致し方故輕追放(けいつゐはう)の上江戸構(かま)ひ申付る次に宅兵衞事は吾助等が巧(たく)みは人外なれども其の巧みに陷(おちい)り兼と密通(みつつう)したるは汝が愚(おろか)なる故なり然ば金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)