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極樂
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ごくらく
若しも
貴下が、
世間で
言ふやうに、
阿呆の
極樂へ
姫さまを
伴れて
行かっしゃるやうならば、ほんに/\、
世間で
言ふ
通り、
不埓な
事ぢゃ。
又死んでも
極樂へ
確に
行かれる
身ぢやと
固く
信じて
居る
者は、
恁云ふ
時には
驚かぬ。
金絲の
綉をした
上衣を
日に
煌かして
行く
大買人もあれば、
重さうな荷物を
脊負てゆく
人足もある、
香料の
妙なる
薫が
折り/\
生温い風につれて
鼻を打つ、
兒童は
極樂へでも
行つた氣になつて
三五郎は何分承知せず然樣なら御
釋迦樣の時は
極樂へ
遣今の時代は地獄へ御
引導成れますか
憚りながら
出家の御身分は何と御
心得成れますぞと
顏色變て言ひければ役僧は
己不屆至極な奴なり
汝は大方
搖り
騙に相違は有まいコリヤ男共此
奴を