“根問(ねど)” の例文
しかしこの上に根問(ねど)いしても、どうで正直のことは白状しまいと思ったので、彼はいい加減に話を切りあげて起った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「此方(こなた)、親があらば叱らさりょう。よう、それからと聞きたがるの、根問(ねど)いをするのは、愛嬌(あいきょう)が無うてようないぞ。女子(おなご)は分けて、うら問い葉問(はどい)をせぬものじゃ。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そんなことをあくどく根問(ねど)いせぬ方が美しくっていい、委細は明後日宿へ訪ねて来た時に、よくわかるように、なんどりと話してみよう、と、それからそれへと、疑ってみたり
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
女の話すことだけ聞くのに甘んじないで、根問(ねど)いをすると、女はそんな目に逢ったことがないので厭(いや)がる。そして何の権利があって、そんな事を問うのだか分からないとさえ思う。
今のわが邦人の多くはこれに反し、自分に何たる精誠も熱心もなきに、水の分量から薬の手加減まで解りもせぬ事を根問(ねど)いして、半信半疑で鼻唄半分取り懸るから到底物にならぬ。
また、恒川氏にしても、我が無能をさらけ出して、根問(ねど)いする愚(ぐ)は演じなかった。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
私(わたし)より願(ねが)ふことゝいふ詞(ことば)聞(き)きも畢(をは)らずそれならばお話(はなし)ありお聽(き)き下(くだ)さりますかと怪(あや)しの根問(ねど)ひお高(たか)さまお前(まへ)さまのお胸(むね)一(ひと)つ伺(うかゞ)へば譯(わけ)のすむ事(こと)外(ほか)でもなし實(まこと)の姉(ねえ)さまにおなり下(くだ)さらぬかと決然(きつぱり)いはれて御串戯(ごじやうだん)私(わたし)こそ實(まこと)の妹(いもと)と思召(おぼしめ)してと言(い)ふを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くはしく語りて疑(うたがい)を解かむとおもふに、をさなき口の順序正しく語るを得むや、根問(ねど)ひ、葉問(はど)ひするに一々(いちいち)説明(ときあ)かさむに、しかもわれあまりに疲れたり。うつつ心に何をかいひたる。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わが邦の今も小児のみか大人まで蟹の両眼八足を抜いて二蛪(つめ)のみで行(ある)かせたり蠅の背中に仙人掌(サボテン)の刺(とげ)を突っ込み幟(のぼり)として競争させたり、警察官が婦女を拘留して入りもせぬ事を根問(ねど)いしたり
彼女もまんざら愚鈍でないので、いかに打ち解けた男のまえでも、領主の家の噂を軽々しく口外することはさすがに慎しんでいるらしく見えたので、澹山も根問(ねど)いしないでその儘に口を噤(つぐ)んだ。
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)