果物屋くだものや)” の例文
品物を窓に向って差出している果物屋くだものやがいたが、その男もKもついうっかりして、それの手押車でKは危うく押し倒されるところだった。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
二人の老人は、前日フォーシュルヴァンがコゼットを預けておいたシュマン・ヴェール街の果物屋くだものやへ行って、コゼットを連れてきたのである。
また、そのみなと景色けしきや、まちさまや……小路こうじかどには、たばこがあって、果物屋くだものやがあって、あかはたっている酒場さかばのあることも、はなしました。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「暑い夏の夜市中を通っておるとむくむくと物のにおいが鼻をく、肴屋さかなや果物屋くだものやも酢屋もまたごみための匂いも交って鼻を衝く。空にはうん気につつまれた夏の月が出ております。」
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そして街から街へ、先に云つたやうな裏通りを歩いたり、駄菓子屋だぐわしやの前で立留たちどまつたり、乾物屋かんぶつや乾蝦ほしえび棒鱈ぼうだら湯葉ゆばを眺めたり、たうとう私は二條の方へ寺町てらまちさがり其處の果物屋くだものやで足を留めた。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
まだ起きてゐる果物屋くだものやを探しに行きぬ。
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
また、果物屋くだものやまえで、いろいろの果物くだものるのもすきです。どれもうつくしいいろをして、いいにおいがしそうでした。
僕の通るみち (新字新仮名) / 小川未明(著)
シュマン・ヴェール街に果物屋くだものやをしてる婆さんで私がよく知ってる者がありますから、いつでもそこに預けることにしましょう。聾でして、小さな寝床も一つあります。
つきひかりが、しっとりと絹糸きぬいとのように、そらしたみなと町々まちまち屋根やねらしています。そこの、果物屋くだものやには、店頭みせさきに、とおくのしまからふねんでおくられてきた、果物くだものがならんでいました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ビセートルの癲狂院てんきょういんにでも入れられたかも知れませんよ。あなたが死なれたら、私はどうなると思います? そしてあなたの娘さんは! 果物屋くだものやの上さんは訳がわからなくなるでしょう。
ある果物屋くだものやまえで、ふたたび昨日きのううつくしいおんなひとあいました。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんどは、果物屋くだものやまえにきて
宿題 (新字新仮名) / 小川未明(著)