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晒布
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さらし
ふりがな文庫
“
晒布
(
さらし
)” の例文
水車は
晒布
(
さらし
)
を掛けたように、氷りついて止まっていた。その小屋の
廂
(
ひさし
)
の下に人影が
屈
(
かが
)
んでいるのだ、石のうえに腰かけて。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は其日、
晒布
(
さらし
)
の袖無を着て帯も締めず、黒股引に草履を穿いて、額の汗を腕で拭き/\、新家の門と筋向になつた或駄菓子屋の店先に立つてゐた。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あとで教員
連
(
れん
)
は村長や学務委員といっしょに広い講堂にテーブルを集めて、役場から持って来た白の
晒布
(
さらし
)
をその上に敷いて、人数だけの椅子をそのまわりに寄せた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
入口に近い机の上では、七条君や下村君やその他僕が名を知らない卒業生諸君が、寄附の
浴衣
(
ゆかた
)
やら手ぬぐいやら
晒布
(
さらし
)
やら浅草紙やらを、罹災民に分配する準備に忙しい。
水の三日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すこし暑いと肌ぬぎで銀ぐさりをかけて、紺の腹掛と、真白い
晒布
(
さらし
)
の腹巻、トンボほどな小さな
丁字髷
(
ちょんまげ
)
が、滑りそうな頭へ、
捻
(
ね
)
じ鉢巻で、負けない気でも年は年だけに
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
角隱しを取つて
晒布
(
さらし
)
を顏に掛けてありますが、血に
塗
(
まみ
)
れた花嫁衣裝もそのまゝ、祝言の部屋から持つて來たらしい
燭臺
(
しよくだい
)
の百目
蝋燭
(
らふそく
)
に左右から晴れがましく照らし出されて
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
衆人
(
みんな
)
の前で牛を呑んで見せたり、観世縒で人間や牛馬を作って、それを生かして耕作させたり、一丈の
晒布
(
さらし
)
に身を変じて、大名屋敷へ忍び込んだり、上杉謙信の寝所へ忍び
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
疲れ切った
身体
(
からだ
)
を起して室内に散らばっているガーゼ、スポンジ、脱脂綿なぞを一つ残らず拾い集めて、文房具、化粧品等と一緒に新しい
晒布
(
さらし
)
に包み込んで、繃帯で厳重に
括
(
くく
)
り上げてしまいました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
討入装束
(
うちいりしょうぞく
)
のままで、手には大身の槍を
提
(
さ
)
げていた。もっとも槍の
穂先
(
ほさき
)
は、明方から白い
晒布
(
さらし
)
で巻いて隠してはあるが——
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は其日、
晒布
(
さらし
)
の袖無を着て帶も締めず、黒股引に草履を穿いて、額の汗を腕で拭き拭き、新家の門と筋向になつた或駄菓子屋の店先に立つてゐた。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
角隠しを取って
晒布
(
さらし
)
を顔に掛けてありますが、血に
塗
(
まみ
)
れた花嫁衣裳もそのまま、祝言の部屋から持って来たらしい
燭台
(
しょくだい
)
の百目
蝋燭
(
ろうそく
)
に左右から晴れがましく照らし出されて
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこに無造作に
寝台
(
ねだい
)
と
卓子
(
テーブル
)
とが置いてある。食堂と言つても、いくらか大きい僧房に二つ三つ卓子を配置してそれに
晒布
(
さらし
)
をかけただけである。そしてそこにゐる人達が面白い。
山のホテル
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
『それと、
片口注
(
かたくち
)
へ
焼酎
(
しょうちゅう
)
をなみなみ
注
(
つ
)
いで、
晒布
(
さらし
)
と一緒に、鷹小屋の前へ持って行ってやれ。——外へ置いてくればいいのだぞ、中へは這入るなよ』
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内儀の時代の死體は、
巧
(
たく
)
みに始末して、床の上に寢かしてありました。が、顏へ掛けた
晒布
(
さらし
)
を取つて、たつた一と眼で平次はその死に樣の尋常でないことを知つたのです。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
饗応役
(
きょうおうやく
)
の家臣たちは勿論のこと、君侯生涯の大命である。肌着には
穢
(
けが
)
れのない
晒布
(
さらし
)
を
裁
(
た
)
ち、腹巻には天の
加護
(
かご
)
を祈って、
神札
(
まもり
)
を秘めている者もあった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妙に苦い口調で、利助は半面
晒布
(
さらし
)
で包んだ顔をねじ向けました。
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
新しい
晒布
(
さらし
)
の肌着でひき
緊
(
し
)
まっているこの体というものが、どう思ってみても今死ぬものとは思われない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
死顏に掛けた
晒布
(
さらし
)
を取つて、八五郎の聲は曇ります。
銭形平次捕物控:272 飛ぶ若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
晒布
(
さらし
)
売りの女がクスクスと笑った途端に、あたりに腰を掛けている旅の者が、声をこらえて吹きだした。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は死骸に近寄つて、顏の
晒布
(
さらし
)
を取りました。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
心得のある藤左衛門も、さすがに、
晒布
(
さらし
)
の吊手にすがったまま、三日目は、眼を閉じたきりだった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は死骸に近寄って、顔の
晒布
(
さらし
)
を取りました。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そう云ったのは、西洋
股引
(
ももひき
)
に陣羽織を着て、大刀を
晒布
(
さらし
)
の腰帯に差している、台場隊の幕兵だった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(試合の当日は、何も支度は
要
(
い
)
り申さぬが新しき
晒布
(
さらし
)
の肌着と下帯だけは整えておきたく思います)
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大阪から
南都
(
なんと
)
へ出る街道口、そこには、伊勢や鳥羽へ立つ旅人の見送りや、
生駒
(
いこま
)
の
浴湯詣
(
よくゆもう
)
で、奈良の
晒布
(
さらし
)
売り、河内の
木綿
(
もめん
)
屋、深江の
菅笠
(
すげがさ
)
売りの女などが、茶屋に休んで
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何気なく覗いてみると、武蔵はもう寝床をぬけて、月の光の下に
沐浴
(
もくよく
)
を済まし、宵にできた真っ白な
晒布
(
さらし
)
の肌着を着、腹巻をしめ、その上に、いつもの衣服を
纒
(
まと
)
っているのであった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仕事場に出る時の身支度を見ても、
厳
(
いかめ
)
しさと云ったらない。
晒布
(
さらし
)
の
襦袢
(
じゆばん
)
だけは毎日洗ったものを着せてくれとお珠へ云ったのでも分る。——出る朝をいつも死ぬ日と心に決めているらしい。
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「へい。ようく心得ておりまする。こんな御用は
船師
(
ふなし
)
一代のうちにもないことだと思いまして、今朝はもう暗いうちから起きて、
水垢離
(
みずごり
)
をかぶり、新しい
晒布
(
さらし
)
で下っ腹を巻いて待っておりますんで」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晒
漢検準1級
部首:⽇
10画
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“晒布”で始まる語句
晒布場
晒布巻