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晃乎
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きらり
巡査が松明を
振翳す途端に、遠い
足下の岩蔭に何かは知らず、
金色の光を放つ物が
晃乎と見えた。が、松明の火の
揺くに
随って、又
忽ちに消えた。
溝端の
片陰に、
封袋を切って
晃乎とする、薬の
錫を
捻くって、伏目に辰吉の
彳んだ
容子は、
片頬に
微笑さえ見える。
今時分、こんな
處へ、
運動會ではありますまい。
矢張り
見舞か、それとも
死體を
引取に
行くか、どつち
道、
頼もしさうなのは、
其お
媼さんの、
晃乎と
胸に
架けた、
金屬製の
十字架で。——
其の
雪洞の
消えた
拍子に、
晃乎と
唯吉の
目に
留つたのは、
鬢を
拔けて
草に
落ちた
金簪で……
濕やかな
露の
中に、
尾を
曳くばかり、
幽な
螢の
影を
殘したが、ぼう/\と
吹亂れる
可厭な
風に