あす)” の例文
イヽエくちにはいわぬけれど本統だよ、来てお泊りな、エ、お前今夜もあすの晩も大丈夫、イエ月の中に二三度は家を開るよ横浜へ行てサ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
其のあす雀部ささべにわかれて、八月はづきのはじめみやこを立ちて、九三木曾路をるに、山だちあまたに取りこめられ、衣服金銀残りなくかすめられ、命ばかりを辛労からうじて助かりぬ。
祖父ぢい樣は被蔽おつかぶせて、「それなら、もう止せ、止せ! 幾ら捕へて來たツて、螢といふ奴は、露を吸ツてきてゐる蟲だから、あすの朝日が出ると、みんな消えてしまうのだ。」
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
父親は太郎からそれを聞いて、「他よりあらわれなば、この家をもたやされん、みおやため子孫のちの為には、不孝の子一人おしからじ、あすは訴えでよ」と云って大宮司だいぐじもとへ訴えさした。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あすの夜よく一二七いつはりてまうでなんとて出でぬ。其の夜も一二八ねがてに明けゆく。
あしたに夕にわすれ給はで、はやく帰り給へ。一九命だにとは思ふものの、あすをたのまれぬ世のことわりは、たけ心にもあはれみ給へといふに、いかで二〇浮木うきぎに乗りつも、しらぬ国に長居せん。