あらため)” の例文
持参した上で、あらためて申上げる。親しい間柄と云いながら、今晩わざわざ請待した客の手前がある。どうぞこの席はこれでお立下されい
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大目付御用遠国鉄砲あらため、という切手の名目や、若年寄の連判など、かれらは見るのがまれなので、半ば恐ろしく半ば信じ兼ねるといったようすであった。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ちょうど鉄道馬車の馬と貴顕の乗馬と違うようなもので肉の味も非常に違います。関東の牛では飼育法をあらためたら上等の肉を得られない事はありますまい
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
一 およそ婦人の心様こころさまの悪き病は、やわらしたがわざると、いかりうらむと、人をそしると、ものを妬むと、智恵浅きと也。此五のやまいは十人に七、八は必ず有り。是婦人の男に及ざる所也。自らかえりみいましめてあらためさるべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
松平美作守みまさかのかみ支配、天文方見習御書物奉行兼帯渋川六蔵、甲斐守家来本庄茂平次、金座お金あらため役後藤三右衛門、並びに中山法華経寺事件にて病死の体でおいとまを賜わった本性院伊佐野のつぼね、御側役八重
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この感覚鋭敏のときにあたり染習せんしゅうせし者は、長ずるに及んでこれをあらためんとほっするもべからざる、なお樹木の稚嫩ちどんなるとき、これを撓屈とうくつすれば、長ずるにおよんでついにこれをなおくすべからざるがごとし。
教育談 (新字新仮名) / 箕作秋坪(著)
わたくしは此より池田宗家を去つた後の杏春あらため瑞英の事蹟を記述しようとおもふ。即ち未だ曾て公にせられたことのない京水実伝である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かつ今より後毎年一度甲冑あらためを行い、手入ていれを怠らしめざるようにせられたいというのである。順承はこれを可とした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
勝四郎の名は今飯田町住の五番弟子がいでいる。一番弟子勝四郎あらため勝五郎、二番勝治郎、三番勝松かつまつ改勝右衛門、四番勝吉かつきち改勝太郎、五番勝四郎、六番勝之助改和吉である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
舟が舟番所の前まで來ると、太兵衞は槍を手挟たばさんで、兼ねて識合しりあひ番所頭ばんしよがしら菅右衞門八に面會を求めた。さて云ふには、在所へ用事出來しゆつたいしてまかり下る、舟のおあらためを願ひたいと云ふのである。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)