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摧
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くじ
ふりがな文庫
“
摧
(
くじ
)” の例文
この冷やかな調子と、等しく冷やかな反問とが、登場の第一歩においてすでにお延の意気込を
恨
(
うら
)
めしく
摧
(
くじ
)
いた。彼女の予期は
外
(
はず
)
れた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
諸将はこのことを知らぬから、行長の決然たる壮語、叱咤、万億の火筒の林も指先で
摧
(
くじ
)
くが如き壮烈無比なる見幕に驚いた。怒り心頭に発したのは如水。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
憎しと思う
輩
(
やから
)
の心
傷
(
やぶ
)
れ
腸
(
はらわた
)
裂け骨
摧
(
くじ
)
け脳
塗
(
まみ
)
れ生きながら死ぬ光景をながめつつ、快く一杯を過ごさんか。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
渠はこの憤りと喜びと悲しみとに
摧
(
くじ
)
かれて、残柳の露に
俯
(
ふ
)
したるごとく、哀れに
萎
(
しお
)
れてぞ見えたる。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「太郎左衛門が
巧
(
うま
)
いたつて、どれ程の事があらう、今日は一つ自慢の鼻を
摧
(
くじ
)
いてやらなくつちや。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
「このたびの大合戦に、さしもの明智軍をも一日に撃ち
摧
(
くじ
)
き、
亡父
(
ちち
)
信長のうらみを散じ得たのは、まったく御辺たちの忠節と奮戦によるものであった。信孝、忘れは
措
(
お
)
かぬぞ」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
渠
(
かれ
)
は河ごしは濟みたりと笑ひて、綱を
弛
(
ゆる
)
むる如くなりしが、こたびは我脊を
緊
(
きび
)
しく縛りて、その端を鞍に
結
(
ゆ
)
ひつけ、鞍をしかと掴みておはせ、墜ちなば頸の骨をや
摧
(
くじ
)
き給はんといひて
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
もっとも町人の事なれば、そうなってみると、おのが身代が惜しゅうなって、気が
摧
(
くじ
)
けていまいとは限らぬが、もしも、さような事になれば一文無しのこっちの方が、
却
(
かえ
)
って確かなもの。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それゆえにこそ、実に一口に言おうとて言えないくらい、さまざまに胸の
摧
(
くじ
)
ける思いをして、やっと今晩という今晩、またと得られない機会を
捉
(
とら
)
えてこうして女の家に入り込んだのである。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
合気の術は剣客武芸者等の我が神威を以て敵の意気を
摧
(
くじ
)
くので、鍛錬した我が気の
冴
(
さえ
)
を微妙の機によって敵に徹するのである。
正木
(
まさき
)
の
気合
(
きあい
)
の
談
(
はなし
)
を考えて、それが如何なるものかを
猜
(
さい
)
することが出来る。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
時々は母に向って
直
(
じか
)
に問い
糺
(
ただ
)
して見たい気も起ったが、母の顔を見ると急に勇気が
摧
(
くじ
)
けてしまうのが
例
(
つね
)
であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たといこの天地が
摧
(
くじ
)
けるとも女を見なければ気が済まぬのである。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ある者は
摧
(
くじ
)
いて
髄
(
ずい
)
を吸い、ある者は砕いて地に
塗
(
まみ
)
る。歯の立たぬ者は横にこいて
牙
(
きば
)
を
磨
(
と
)
ぐ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
摧
漢検1級
部首:⼿
14画
“摧”を含む語句
摧折
打摧
摧残
摧邪輪
破摧
搗摧
摧心
摧邪輪荘厳記
摧靡
摧飛
撃摧
撕毀摧燒
路窮絶兮矢刃摧
鉄甲摧破