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ぬけ
始めけるが元より
拔めなき者ゆゑ次第に
繁昌なし此所彼處の屋敷又は大町人などの
舂入を
請合ければ
俄に手
繰能金銀も
殖るに
付地面を求めて
普請を
「
酷くおめえ
近頃ぽさ/\しつちやつてんだな、あゝだ
婆でも
焦れてる
所爲ぢやあんめえ、
頭髮まで
拔た
樣だな」
剽輕な
相手は
爺さんの
頭へ
手を
掛てゆさ/\と
動かした。
左りに云
拔んと爲る共二十日の
朝其方が衣類の
裾へ
血汐を
引其上
汝れが紙入藤八よりの手紙が入てありしを
第一番に
渡し
諫皷は二番に
渡しけるが
或時の
祭禮に
彼猿の出し
作ふひまに先へ
拔たり此時よりして鳥の出し一番に
渡るとの
嚴命にて
長く一番とはなりにけり是天下太平の
功なり