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手鞄
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てかばん
ふりがな文庫
“
手鞄
(
てかばん
)” の例文
来太は笑いながら
手鞄
(
てかばん
)
を下ろし、中から一本のビールを取り出した。片町坂の家で出された二本めを抜かずにもらって来たのである。
花咲かぬリラ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
荒布革
(
あらめがは
)
の横長なる
手鞄
(
てかばん
)
を膝の上に
掻抱
(
かきいだ
)
きつつ貫一の思案せるは、その宜き
方
(
かた
)
を択ぶにあらで、
倶
(
とも
)
に行くをば
躊躇
(
ちゆうちよ
)
せるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
葉子はその男から離れたい一心に、手に持った
手鞄
(
てかばん
)
と包み物とを甲板の上にほうりなげて、若者の手をやさしく振りほどこうとして見たが無益だった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
醫者
(
いしや
)
は
小
(
ちひ
)
さな
手鞄
(
てかばん
)
を一つ
持
(
も
)
つて
古
(
ふる
)
い
帽子
(
ばうし
)
をちよつぽり
載
(
いたゞ
)
いて
出
(
で
)
た。
手鞄
(
てかばん
)
は
勘次
(
かんじ
)
が
大事相
(
だいじさう
)
に
持
(
も
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
見知越
(
みしりごし
)
で、乗合わした男と——いや、その男も実は、はじめて見たなどと話していると、向う側に、革の
手鞄
(
てかばん
)
と、書もつらしい、
袱紗包
(
ふくさづつみ
)
を上に置いて、腰を掛けていた、
土耳古形
(
トルコがた
)
の毛帽子を
被
(
かぶ
)
った
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
女はなおその外に、重そうに見えるかなり大きな
手鞄
(
てかばん
)
を持っていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
紫紺
塩瀬
(
しほぜ
)
に
消金
(
けしきん
)
の
口金
(
くちがね
)
打ちたる
手鞄
(
てかばん
)
を取直して、婦人はやをら
起上
(
たちあが
)
りつ。迷惑は貫一が
面
(
おもて
)
に
顕
(
あらは
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
葉子の叔母は葉子から二三
間
(
げん
)
離れた所に、
蜘蛛
(
くも
)
のような白痴の子を
小婢
(
こおんな
)
に背負わして、自分は葉子から預かった
手鞄
(
てかばん
)
と
袱紗
(
ふくさ
)
包みとを取り落とさんばかりにぶら下げたまま
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
片方の手に
手鞄
(
てかばん
)
と細身の
籐
(
とう
)
の
洋杖
(
ステッキ
)
を持ち片方の手に黒いベルベットの帽子を持って帰ってゆかれるんだが、その歩きつきがまたひと足ひと足ゆっくりと
噛
(
か
)
みしめるようなぐあいで
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やをら起たんと為るところを、蒲田が力に
胸板
(
むないた
)
を
衝
(
つか
)
れて、
一耐
(
ひとたまり
)
もせず
仰様
(
のけさま
)
に
打僵
(
うちこ
)
けたり。蒲田はこの
隙
(
ひま
)
に彼の
手鞄
(
てかばん
)
を奪ひて、中なる書類を
手信
(
てまかせ
)
に
掴出
(
つかみだ
)
せば、狂気の如く
駈寄
(
かけよ
)
る貫一
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
鞄
漢検準1級
部首:⾰
14画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭