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手負
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てお
ふりがな文庫
“
手負
(
てお
)” の例文
いま、役人がしさいを書きあげているが、
味方
(
みかた
)
の
斬
(
き
)
りすてられた者二十四、五名、
手負
(
てお
)
いは五十名をくだるまいとのことでござった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(桂は頼家の仮面を持ちて顔には髪をふりかけ、
直垂
(
ひたたれ
)
を着て長巻を持ち、
手負
(
てお
)
いの体にて走り出で、門口に来たりて倒る。)
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
抱くばかりにしたのだが、
余所目
(
よそめ
)
には
手負
(
てお
)
へる
鷲
(
わし
)
に、
丹頂
(
たんちょう
)
の
鶴
(
つる
)
が
掻掴
(
かいつか
)
まれたとも何ともたとふべき
風情
(
ふぜい
)
ではなかつた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
大御所
(
おおごしょ
)
吉宗
(
よしむね
)
の内意を受けて、
手負
(
てお
)
いと
披露
(
ひろう
)
したまま
駕籠
(
かご
)
で中の口から、平川口へ出て引きとらせた。
公
(
おおやけ
)
に死去の届が出たのは、二十一日の事である。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ですから
為朝
(
ためとも
)
の
射
(
い
)
る
矢
(
や
)
は、
並
(
な
)
みの人の
矢
(
や
)
がやっと一
町
(
ちょう
)
か二
町
(
ちょう
)
走
(
はし
)
るところを五
町
(
ちょう
)
も六
町
(
ちょう
)
の
先
(
さき
)
まで
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
き、ただ一
矢
(
や
)
で
敵
(
てき
)
の三
人
(
にん
)
や四
人
(
にん
)
手負
(
てお
)
わせないことはないくらいでした。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
牛と馬と羚羊を混じた姿で、尾と
鬃
(
たてがみ
)
は殊に馬に近い。
手負
(
てお
)
うた角馬に近づくはすこぶる危険な由、一九一四年版パッターソンの『ゼ・マン・イータース・オヴ・ツァヴォ』に述べある。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
頭領は残った二人の武士に、二人の
手負
(
てお
)
いを
介抱
(
かいほう
)
させ、後から悠々と立ち去った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
左手
(
さしゅ
)
といえど弦之丞の
夕雲流
(
せきうんりゅう
)
には少しの不自由さも見えなかった。またたくまに数人の
手負
(
てお
)
いが、大地に仆れ、禅定寺の石垣の根へ這った。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから、一同集って、
手負
(
てお
)
いを抱きあげて見ると、顔も体も血まみれで誰とも更に見分ける事が出来ない。が、耳へ口をつけて呼ぶと、漸く
微
(
かすか
)
な声で、「細川越中」と答えた。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
栄之丞はほかの
手負
(
てお
)
いと一緒に廓内の医者の手当てを受けに連れて行かれていた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「心得ぬ
軍師
(
ぐんし
)
のいい
条
(
じょう
)
、では、みすみす
間道門
(
かんどうもん
)
をやぶられて、ここにおおくの
手負
(
てお
)
いをだすとも、大事ないといいはらるるか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それがふしぎ、なかには
手負
(
てお
)
いや死んだ者もあったろうに、
逃
(
に
)
げるときにもち
去
(
さ
)
ったか、一つもさきの死骸がのこってない」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、共に、山をゆるがす程の
喊声
(
かんせい
)
が、西の
崕
(
がけ
)
にも、東の峰にも、わき起った。谷あいの
手負
(
てお
)
いも、馬も、異様な声を発した。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一たん橋上から後退すると、織田兵はすぐ城門をひらいて、死者
手負
(
てお
)
いを踏みこえ踏みこえ、槍をそろえて突き出て来た。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの女の手が、
手負
(
てお
)
いの傷口を
繃帯
(
ほうたい
)
してやるときには、その眼に、涙があった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
負
常用漢字
小3
部首:⾙
9画
“手負”で始まる語句
手負猪