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懸値
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かけね
ふりがな文庫
“
懸値
(
かけね
)” の例文
おしてお目通りに出たわけですが。……そもそも、曹操が大兵百万と号している数には、だいぶ
懸値
(
かけね
)
があるものと自分は観ております
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして腹のなかでは、もしかそれに少しでも
懸値
(
かけね
)
があつたにしても、そんな事は
後
(
あと
)
から直ぐ弁償出来るとでも思つてるらしかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
……と
言
(
い
)
ふ
隙
(
ひま
)
に、
何
(
なん
)
の、
清水谷
(
しみづだに
)
まで
行
(
ゆ
)
けばだけれど、
要
(
えう
)
するに
不精
(
ぶしやう
)
なので、
家
(
うち
)
に
居
(
ゐ
)
ながら
聞
(
き
)
きたいのが
懸値
(
かけね
)
のない
處
(
ところ
)
である。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
けだしこの山神は専ら森林を司り、その祭日には自分の顔色と名に因んで、赤木に猿たに猿滑りと、一種の木を三様に
懸値
(
かけね
)
して国勢調査すと伝えたのだ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それからチベット人はなかなか
懸値
(
かけね
)
をいう。始めから一定の値段で売るなどということはラサ府ではどこの店にもない。必ず懸値をいうにきまって居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
これはことにひどい地方でありましょうが、大体において男子の三分の二が、公民籍から除かれたということは、決して
懸値
(
かけね
)
のないところでありましょう。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「ほほほほ、なんですよ今ごろ、これが三社前の姐さん、当り矢のお艶の
懸値
(
かけね
)
のないところ。
地金
(
じがね
)
をごらんなすったら、愛想もこそも尽きましたろうねえ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これなどは秘密を誓約した人々の抜け荷だから、若干の
懸値
(
かけね
)
があっても吟味をすることが困難である。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
懸値
(
かけね
)
はない。びっくりいたしたか。なかなかの美人じゃ。別して膝の肉づきは格別じゃったのう」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「もう直ぐだ。駅から十分さ。この辺の駅から十分は大抵
懸値
(
かけね
)
があるんだが、僕のところは正味十分だ。尤もこんなにブラ/\歩いちゃ十五分ぐらいかゝるかも知れない」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
当人の公言するごとく
佯
(
いつわ
)
りなき事実ではあるが、いまだに
成効
(
せいこう
)
の
曙光
(
しょこう
)
を拝まないと云って、さも苦しそうな声を出して見せるうちには、少なくとも五割方の
懸値
(
かけね
)
が
籠
(
こも
)
っていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「買って行った人の家から、晩方にはおじさまの家に直ぐ逃げてもどるわ、あたいは一疋で三百円が
懸値
(
かけね
)
のないおねだんだから、逃げ出してはまた別の金魚屋に売られて、またおじさまの処に戻って来るわ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
この無感情が、
大悟
(
たいご
)
の無表現ででもあったなら
偉
(
えら
)
いものであるが、彼の場合は、現れたとおりの、
懸値
(
かけね
)
なしであるからまことに
愍
(
あわ
)
れというほかはない。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アはベーツ説に四十フィートに達するそうだが、ピゾン・レチクラツスは三十フィートまで長ずというから『本草』の
懸値
(
かけね
)
は
恕
(
ゆる
)
すべしで、実に東半球最大の蛇だ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その商売も誠実にやるのでなく前にいうた通り
懸値
(
かけね
)
をいったり人を欺いたりすることが多い。どうもチベット一般の人民はしごく
狡猾
(
こうかつ
)
な気風に養成されて居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
春挙氏は言ひ値通りに
価
(
あたひ
)
を払つて石を引取つた。実をいふと、石屋の
主人
(
あるじ
)
は値切られる積りで、幾らか
懸値
(
かけね
)
を言つたらしかつたが、
画家
(
ゑかき
)
はそんな事に頓着しなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
無責任な言には似るが、それが
懸値
(
かけね
)
のないとこじゃよ
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
懸値
(
かけね
)
はありません」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
値
常用漢字
小6
部首:⼈
10画
“懸”で始まる語句
懸
懸念
懸想
懸隔
懸崖
懸合
懸命
懸引
懸物
懸声