惑亂わくらん)” の例文
新字:惑乱
あかるいひかり滿ちた田圃たんぼ惑亂わくらん溷濁こんだくしたこゝろいだいてさびしく歩數あゆみんでかれは、玻璃器はりきみづかざして發見はつけんした一てん塵芥ごみであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
爲方しかたがないから、ギリ/\齒噛をしながらも、つよい心でおツこらへてゐる。其れがまたつらい。其の辛いのを耐へて、無理に製作をつゞける。がて眼が血走ちはしツて來、心が惑亂わくらんする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『ソフィイ! ソフィイ!』と私はまた呼びました。それでもまだだまつてゐるのです。私は床の上に起き上つて身を乘り出してみました。はじめは驚きが、次には惑亂わくらんが襲つて來ました。
かれにはつていて與吉よきちた。與吉よきち横頬よこほゝいんした火傷やけどかれ惑亂わくらんしたこゝろさわがせた。勘次かんじまたそばつぶつて後向うしろむきつて卯平うへいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「わしもれ……」とかれかすかにいつたのみで沈默ちんもくつゞけた。かれ内儀かみさんのまへにどうしてものべなければならないことにそのこゝろ惑亂わくらんした。かれはぽうつとしてくらまうとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)