御嶽みたけ)” の例文
新字:御岳
過ぎて新街道大釜戸おほかまどといふより御嶽みたけへ出づ元は大井より大久手おほくて細久手ほそくてを經て御嶽みたけいでしなれど高からねど山阪多きゆゑ釜戸かまどかた
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
みちみち可懐なつかし白山はくさんにわかれ、日野ひのみねに迎えられ、やがて、越前の御嶽みたけ山懐やまふところかれた事はいうまでもなかろう。——武生は昔の府中ふちゅうである。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また弟子の中の祈祷きとうの効験をよく現わす僧などにも命じていたこの客室での騒ぎを家主は聞き、その人は御嶽みたけ参詣のために精進潔斎しょうじんけっさいをしているころであったため
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
到底とうてい起きる気がしないから、横になったまま、いろいろ話していると、彼が三分さんぶばかりのびたひげの先をつまみながら、僕は明日あす明後日あさって御嶽みたけへ論文を書きに行くよと云った。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
九州の南の方では性空上人しょうくうしょうにん、越後の七不思議の話では親鸞しんらん上人、甲州の御嶽みたけの社の近くには日蓮上人などが、竹の杖を立ててそれが成長したことになっていますが、水が湧き出した話には
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そしてはかまももだちをとって田舎道いなかみちを歩いてゆかれた先生の姿など眼のまえに浮かんでくる。甲州御嶽みたけの歌会には私の都合で行をともにすることのできなかったのを、今でも遺憾に思っている。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)
夢か、こは、まことなりけり。夢ならず、うつつなりけり。起きよ起きよ。まことこれ日の本の不尽、木花咲耶姫の神、神しづまりに鎮まらす不尽の御嶽みたけぞ、見よ目に見えて近ぢかと明け初むるなれ。
木曽の御嶽みたけいはを越え
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
御嶽みたけの杉に
野口雨情民謡叢書 第一篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
して足早に行過しも可笑をか御嶽みたけ宿しゆくにて晝食ちうじきす此に可兒寺かにでらまた鬼の首塚などありと聞けど足痛ければ素通りときめて車を走らす是より山の頂の大岩道を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
山霊さんれいに対して、小さな身体からだは、既に茶店の屋根をのぞく、御嶽みたけあごに呑まれていたのであった。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夢か、こは、まことなりけり。夢ならず、うつつなりけり。起きよ起きよ。まことこれ日の本の不尽、木花咲耶姫の神、神しづまりに鎮まらす不尽の御嶽みたけぞ、見よ目に見えて近ぢかと明け初むるなれ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この御嶽みたけや春なりながら峯の奥は雪深からし山開やまびらきまだ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こご御嶽みたけ行者ののぼり坂こごしとは思へ青き杉の香
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)