待合室まちあいしつ)” の例文
はなしはべつに、あるまち病院びょういんで、まずしげなふうをした母親ははおや少年しょうねん二人ふたりが、待合室まちあいしつかたすみで、ちぢこまって、いていました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
青森の町は盛岡もりおかぐらいだった。停車場ていしゃじょうの前にはバナナだの苹果りんごだの売る人がたくさんいた。待合室まちあいしつは大きくてたくさんの人が顔をあらったりものを食べたりしている。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
夕陽ゆうひは、おかまちしずみかかっています。そのとき、汽船きせん待合室まちあいしつに、いつかの運転手うんてんしゅは、一人ひとり不思議ふしぎおんなをみとめました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
沿海線えんかいせん沿うて、レールがはしっていました。小高こだかおかうえに、停車場ていしゃじょうがあって、待合室まちあいしつかぜきさらしになっています。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
エーは、だんがって、待合室まちあいしつにはいると、がらんとして、人影ひとかげはなく、ただ一人ひとりくろ服装ふくそうをした外国がいこくのおばあさんが、ベンチにこしをおろして、したいて、なにかしていました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうほどなく、馬車ばしゃるというので、待合室まちあいしつにいた人々ひとびとが、はこなかへはいりかけました。なかにはおおきな荷物にもつをかかえたおとこがいました。たぶん山間やまあい農家のうかへあきないにいくのでしょう。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)