役柄やくがら)” の例文
現代いまで言う秘書課のようなところだから、わりに若手わかてが多かったもので、ここで柳営りゅうえいの事務を見習い、才幹さいかんがあると認められれば、それぞれ上の役柄やくがらへ振り当てられて
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さきの、堀河天皇は、非常な熱心家で、禁門の馬寮には、諸国の逸駿いつしゅんをつながせて楽しまれた。右馬頭うまのかみ左馬頭さまのかみらの配下は、このちょうに人員も増されたし、役柄やくがらも大いにふるった。
いっていらっしゃいまし……とうとう出掛けたが、是は君、えゝどうも、富貴ふうき天に有りと云うが、不思議な訳で、君は以前お役柄やくがらで、元が元だから金を持って来ても是程に貧乏と知らんから
御退おしりぞけ下さるべしと言るゝに伊豆守殿顏色がんしよくかへ是れ越前其方は役柄やくがらをも相勤あひつとめ候へば斯程かほどの事はわきまへ居るべし老中らうぢうの公用人は目付代めつけかはりなり役屋敷やくやしきに於て密談みつだん致す事は元より御法度ごはつとなりと申さるゝを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼女の姿も、容貌の工合も、その顏色も、大體の容子も、猶太王國時代の王女を思ひ出させるところがあつた。そしてまた、そのやうなのが、疑ひもなく彼女が演じようとしてゐる役柄やくがらでもあつた。
「ときに、仙波さん、あなたのお役柄やくがらはなんです」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
なし實は九郎兵衞より時候じこう見舞としていさゝ到來たうらいせしと申ければ大岡殿其は何程もらひしと云に理左衞門金十五兩貰ひたりと申せば大岡殿ナニ金十五兩とやコレ理左衞門時候見舞とあらば魚鳥ぎよてうの類か他國の産物さんぶつならば格別かくべつ役柄やくがら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
流浪るらう致しをり不便ふびんに存候故途中とちうよりつれかへり私し明家あきやへ住居させ候に追々狂氣きやうきをさま正氣しやうきに立歸り以前の如く渡世とせい致し居候内享保きやうほ元申年十一月廿八日かと覺え候が其日は大雪おほゆきにて人通りもまれなるにお三には酒に圍爐裏ゐろりまろおち相果あひはて申候と聞て次右衞門三五郎は役柄やくがらなれば早くも心付其死骸しがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)