山骨さんこつ)” の例文
地相ちそう岩脈がんみゃく山骨さんこつ樹姿じゅし、それらのものからよくると、どんなかくし道でもかならずわかるわけでございます。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその遥か上の空には、何時いつも見慣れた北漢山のゴツゴツした山骨さんこつが青紫色に空を劃っていたりする。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
山骨さんこつへ鉄杖をジャラーンと突き、二足三足歩きかけた時、またもや山上からひづめの音!
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
狭き谷の麦圃に沿ひ、北行ほくかうやゝ久しく、西日まばしく馬影ばえいなゝめに落つる頃、路の左にそびえ起る一千尺ばかりの山を見る。中腹石屏せきびやうを立てたる如き山骨さんこつあらはれ、赭禿あかはげの山頂に小き建物あり。
ほどなく洲崎鼻すのさきばな尽頭じんとう、東より西に走り来れる山骨さんこつが、海に没して巌角いわかど突兀とっこつたるところ、枝ぶり面白く、海へ向ってのした松の大木の枝の上に、例の般若の面をかぶって腰うちかけ
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
右には未だ青き稲田をへだてて白砂青松の中に白堊の高楼あま塩屋しおやに交じり、その上に一抹の海青く汽船の往復する見ゆ。左に従い来る山々山骨さんこつ黄色く現われてまばらなる小松ちびけたり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
このとき中央ちゆうおう山脈さんみやく斜面しやめん沿うて堆積たいせきしてゐた土砂どさ全體ぜんたいとして山骨さんこつはなれ、それが斜面しやめんながくださいまがところおいて、雪崩なだれの表面ひようめんあるひひらいたり、あるひぢたりしたものゝようであるが
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)