小笹をざさ)” の例文
幾年いくねんとなしに隙間すきましやうずれば小笹をざさし/\しつゝあつたたけ垣根かきねは、つちところがどす/\にちてるのですぐおほきなあないた。おつぎは其處そこからくぐつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
昨夜よべは節所を窘歩きんぽし来り、昼は終日戦ひ暮れたり、目ざすも知らぬ夜の道、小笹をざさが上の露もろとも、おちまろび、起きては倒れ、倒れては起き上り急ぎしが、せめて月をよすがにせむと
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御親まつる墓のしら梅なかに白く熊笹くまざさ小笹をざさたそがれそめぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
つぐ遠寺ゑんじかねガウ/\とひゞき渡りいと凄然ものすごく思はるればさしも強氣がうきの者共も小氣味こきみ惡々わる/\足にまかせて歩行あゆむうちあをき火の光り見えければあれこそ燒場やきば火影ひかげならんと掃部は先に立て行程にはや隱亡小屋をんばうごや近接ちかづく折柄をりから道の此方こなたなる小笹をざさかぶりし石塔せきたふかげより一刀ひらりと引拔稻妻いなづまの如く掃部が向うずね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)