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をざさ
御親まつる墓のしら梅
中に白く
熊笹小笹たそがれそめぬ
報る
遠寺の
鐘ガウ/\と
響き渡り
最凄然く思はるればさしも
強氣の者共も
小氣味惡々足に
任せて
歩行中青き火の光り見えければ
彼こそ
燒場の
火影ならんと掃部は先に立て行程に
早隱亡小屋に
近接折柄道の
此方なる
小笹の
冠りし
石塔の
蔭より一刀
閃りと引拔
稻妻の如く掃部が向う
脛を
色のない焔は
瞬く内に、
濛々と黒煙を挙げ始めた。と同時にその煙の下から、茨や
小篠の焼ける音が、けたたましく耳を
弾き出した。