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學資
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がくし
ついぞ
學資と
云ふ
問題を
頭に
思ひ
浮べた
事がなかつたため、
叔母の
宣告を
受けた
時は、
茫然して
兎角の
挨拶さへ
出來なかつたのだと
云ふ。
小六の
云ふ
所によると、二三
日前彼が
上總から
歸つた
晩、
彼の
學資は
此暮限り
氣の
毒ながら
出して
遣れないと
叔母から
申し
渡されたのださうである。
凡てを
差し
引いて
手元に
殘つた
有金は、
約二千
圓程のものであつたが、
宗助は
其内の
幾分を、
小六の
學資として、
使はなければならないと
氣が
付いた。