孤児こじ)” の例文
旧字:孤兒
孤児こじだとか云う恵まれていない人物を探し出して、これに莫大な資金を送り、その人物が立身出世をするように極力宣伝し
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
モコウは両親もなき孤児こじで船のコックになったり、労役ろうえき奴隷どれいになったりしていたが、富士男の父に救われてから幸福な月日をおくっている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「あたしたちに、もう、自分の子供が出来るあてがないとしたら、いっそのこと、可哀かわいそうな孤児こじかなんかを養子ようしにもらったらどうでしょう。」
やんちゃオートバイ (新字新仮名) / 木内高音(著)
しかも、孤児こじであった、彼女かのじょは、けっして、幸福こうふくとはいえませんでした。それをおもうと、青年せいねんうつくしいひとてもこころをひかれることがなかったのです。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
父の領地りょうち焦土しょうどとなり、身は天涯てんがい孤児こじとなった伊那丸、さだめし口惜くやしかろう、もっともである。いずれ、家康もとくと考えおくであろうから、しばらくは、まず落ちついて、体を
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
番頭の利八郎は若い時放埒ほうらつで、隣町の師匠に隠し子をこしらえ、だいぶ金を注ぎ込みましたが、厳格な主人をはばかってツイそれを打明け兼ねているうち、師匠は死んで娘のお道は孤児こじになり
私は町会長の義務ぎむを果して、博雄と二人だけでさんたんたる町を行くと、天地の間、私とこの孤児こじと二人のみがいるような錯覚さっかくをおぼえた。事実一瞬にして、世は孤立人のみの世界に変じたのである。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
孤児こじとなった達吉たつきちに、こうして、また不幸ふこうがみまったのでした。かれは、伯父おじさんがんでから、あとのこった伯母おばさんと、しばらく途方とほうれていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、一座は解散となって、団員たちは、ばらばらになってしまうにきまっている。ああ、そんなことになれば、房枝のような孤児こじを、だれが面倒みてくれるであろうか。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ある地主じぬしは、ようたしでおてらのそばをとおると、ちょうど孤児こじたちが、にわあそんでいました。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
過日かじつこの孤児園こじえん孤児こじたちが、って、書簡しょかんせんや、鉛筆えんぴつや、はみがきなどをかんへれて、りにきたとき、自分じぶんは、つれなく、「みんなあるから、いらない。」と、ことわったのだった。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)