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孝二
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こうじ
孝二は、二十
銭出そうと
持ってきたのを、
小泉と
二人の
分にして
出しました。これで、
小泉もこの
遊戯に
加わることができたのです。
「よし、
押してみようか……。」と、
清吉が、
脊伸びをして、ボタンに
指をつけようとすると、
孝二は、はや
逃げ
腰になっていました。
ちょうど、
空をこうしの
内からながめていた
孝二は、いつも
新聞をここへ
入れていくのは、この
子が
配達するのかと
思って
見ていました。
「よし。」といって、
鉛筆を
孝二に
与えられました。いつも、
首席を
争う
東、
小原は、まだ
出ませんでした。つづいて
出たのは
有田です。
三郎さんは、さっそく、
孝二くんに、
礼をいってやりました。それから、そのうちに、また
雑誌を
送るからと
書きました。
三郎さんが、
孝二くんの
送ってくれた、どんぐりを、
学校へ
持ってゆくと、さあたいへんでした。みんなは、
珍しがって
そのことを、
三郎さんから、
孝二くんにいってやると、すぐに
返事がきて、
田舎の
子供たちも
大喜びだというのでした。
孝二は、
追いかけてきた
女の
子をにらみました。まだ十五
歳ぐらいで
髪をお
下げにして、
短い
服を
着ていました。
「なあんだ、
田舎っぺの
女中か。」と、
孝二は
思って、
生意気をいったら、なぐろうと
考えました。