姉様ねえさん)” の例文
旧字:姉樣
「ちさや、どうぞ気をたしかにもっておくれ。もう姉様ねえさんはどうしようね。お前、私だよ。姉さんだよ。ね、わかるだろう、私だよ。」
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母様かあさん姉様ねえさんのおうちが危いから行つて来ます。お父様とうさんももうおいでになつたのです。うちは大丈夫だから安心しておいで。」
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
家兄にいさん、小田原の姉様ねえさんが参りました。」としとやかに通ずる。これを聞いて若主人は顔を上げて、やや不安の色で。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
傳「どうも感心でげすね、姉様ねえさんを大事になすって、お中がいいって実に姉弟でう睦ましくうちはねえてえ村中の評判でございますよ、へえ御免なさいよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
春太郎はるたろうの眼からも、ぽろぽろと大きなのがころげました。春太郎のお姉様ねえさんも眼にハンケチをあてていました。
街の子 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
そして、『姉様ねえさん、姉様。』と声高く呼んで、『兄もモウ帰る時分ですから。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ちさや、どうぞ気をたしかにもつておくれ。もう姉様ねえさんはどうしようね。お前、私だよ。姉さんだよ。ね、わかるだらう、私だよ。」
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
姉様ねえさん、姉様。』と叫び乍ら、芳子といふ十二三の妹がドタバタ駆けて来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
傳「へえ姉様ねえさんまアねやぶから棒にんな事を申しては極りが悪うございますが、頼まれたからお前さんの胸だけを聞きに来ましたが、あの大滝の不動様へお百度を踏みにいらっしゃいますね」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「でも一人ではいけませんよ。お姉様ねえさんとならいいけど」
街の子 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「でも円髷に結ってるもの、銀杏返だとなくなった姉様ねえさんにそっくりだから、姉様だと思うけれど、円髷じゃあ僕は嫌だ。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お前あれは斑猫はんみょうといって大変な毒虫なの。もういね、まるでかわったようにうつくしくなった、あれでは姉様ねえさんが見違えるのも無理はないのだもの。」
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お前あれは斑猫はんみようといつて大変な毒虫なの。もういね、まるでかはつたやうにうつくしくなつた、あれでは姉様ねえさんが見違へるのも無理はないのだもの。」
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
僕はまたひげがさ、(水上みなかみさん)て呼ぶから、何だと思って二階からのぞくと、姉様ねえさん突伏つっぷして泣いてるし、髯は壇階子だんばしご下口おりぐち突立つったってて、憤然むっとした顔色かおつき
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私が銀杏返いちょうがえしに結っていますと、亡なった姉様ねえさんてるッて、あの児も大層姉おもいだと見えまして、姉様々々ッて慕ってくれますもんですから、私もつい可愛くなります。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうも姉様ねえさん難有ありがとう。」車夫は輪軸を検せんとて梶棒を下すを暗号あいずに、おでん燗酒かんざけ茄小豆ゆであずき、大福餅の屋台みせに、先刻さきより埋伏まいふくして待懸けたる、車夫、日雇取ひようとり、立ン坊、七八人
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今の母様おっかさんの子で、姉様ねえさんの阿銀とはおなかが違っているのだけれど、それはそれは姉おもいの優しい子で、姉様が継母の悪だくみで山へ棄てられるというのを聞いて、どんなにか泣いたろう。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さあ、もう可いからお泣きでないよ。おお、泣止なきやみましたね、好い児。何を御褒美に上げようかしら、ああものがあったっけ、姉様ねえさんとさあ一所に光来おいで。」と手をきて家に
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
死亡おなくなり遊ばした母様おっかさんに、よく顔がておいでだから、平常いつも姉様ねえさんと二人して、可愛がってあげたのに、今こんな身になっているのを、見ていながら、助けてくれないのは情ないねえ、怨めしいよ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
照子の顔をじろりとながめ、「おい、姉様ねえさん。こりゃ何程いくらだい。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)