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妖氛
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えうふん
彼堆く
積める
蛇の
屍も、
彼等將に
去らむとするに
際しては、
穴を
穿ちて
盡く
埋むるなり。さても
清風吹きて
不淨を
掃へば、
山野一點の
妖氛をも
止めず。
我等皆
心織筆耕の徒、市に
良驥の長鳴を聞いて知己を誇るものに非ずと
雖も、野に白鶴の
廻飛を望んで壮志を
鼓せること幾回なるを知らず。一朝天風
妖氛を払ひ海内の文章先生に落つ。
或時は
日の
出づる
立山の
方より、
或時は
神通川を
日沒の
海より
溯り、
榎の
木蔭に
會合して、お
月樣と
呼び、お
十三と
和し、パラリと
散つて
三々五々、
彼杖の
響く
處妖氛人を
襲ひ、
變幻出沒極りなし。