やたら)” の例文
で、吃驚びつくりしたやうに、きよときよとして其處らを見𢌞しながら、何か不意に一大事件にでも出會でくはしたやうに狼狽うろたへる。やたらと氣がいらツき出す。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さあ、源はあせらずにおられません。こうなると気をいらってやたらに鞭を加えたくなる。馬は怒の為に狂うばかりになって、出足がかえって固くなりました。にわかに「樺、樺」と呼ぶ声が起る。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
うみなか筋斗返とんぼがへりをする!』とさけんで海龜うみがめは、やたらまはりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それからまたやたらむちで痩馬をひツぱたくがたくり馬車の馭者ぎよしやや、ボロ靴で泥を刎上はねあげて行く一隊の兵卒や、其の兵隊を誘致して行くえらさうな士官や
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それでも、やたらに、戸板といたうへ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そしてやたらと頭を押へて見て、また頭を振つて、ふら/\と其處らを歩𢌞ツてゐた。……かと思ふと、突如だしぬけ
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
やたら上下うへしたさがまはりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
どてについて曲る。少し行くと追分のとほりだ。都會の響がガヤ/″\と耳に響いて、卒倒でもしさうな心持になる……何んだか氣がワク/\して、やたらと人に突當つきあたりさうだ。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しや事業熱はめても、失敗を取返へさう、損害をつくのはうといふ妄念まうねんさかんで、頭はほてる、血眼ちまなこになる。それでも逆上氣味のぼせぎみになツて、危い橋でも何んでもやたらと渡ツて見る………矢張やはり失敗だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)