好惡よしあし)” の例文
新字:好悪
夫れへ湯を廻して砂糖さへ甘くすれば十人前や二十人は浮いて來よう、何處でも皆な左樣するのだお前のとこばかりではない、何此騷ぎの中で好惡よしあしを言ふ物が有らうか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おひしと露知つゆしらぬお光が嫁入よめいりの支度の好惡よしあし父親とも又お金とも相談して調とゝのへければ衣類いるゐ諸道具しよだうぐ今は殘らずそろひたるに大家の事故先方にては夥多あまたの支度ある事にて未だ調とゝのはぬか婚姻こんいんの日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
流石さすが信如しんによそでふりりてゆきすぎることもならず、さりとてひとおもはくいよ/\らければ、手近てぢかえだ引寄ひきよせて好惡よしあしかまはず申譯まうしわけばかりにりて、なげつけるやうにすたすたと行過ゆきすぎるを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なに此騷このさわぎのなか好惡よしあしものらうか、おりおりとひながらさきつて砂糖さとうつぼ引寄ひきよすれば、ッかちの母親はゝおやおどろいたかほをして、おまへさんは本當ほんとう商人あきんど出來できなさる
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
手近の枝を引寄せて好惡よしあしかまはず申譯ばかりに折りて、投つけるやうにすたすたと行過ぎるを、さりとは愛敬の無き人とあきれし事も有しが、度かさなりての末には自ら故意わざとの意地惡のやうに思はれて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)