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奴凧
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やっこだこ
ふりがな文庫
“
奴凧
(
やっこだこ
)” の例文
と同時に目の前を、
奴凧
(
やっこだこ
)
のように肩を張って、威張りに威張りながら通りぬけようとしていたのは、三十二三のぞろりとした男です。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ちイ……」と、舌打ちをして
踵
(
かかと
)
を上げたのは、向うへ駈けだしていった子供の
奴凧
(
やっこだこ
)
が、お綱の白い
脛
(
はぎ
)
へからんだのである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、まず正月らしいものというので、
凧
(
たこ
)
をかんがえた。凧は先年この座で菊五郎の上演した「
奴凧
(
やっこだこ
)
」の浄瑠璃がある。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大切りには宙乗り所作事、
奴凧
(
やっこだこ
)
や雷公が呼び物、もちろん本衣裳で振りも確か、奴凧の狂いなどはらはらさせた。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
ほほほ、兄さんさぞかし今ごろは
奴凧
(
やっこだこ
)
みたいに宙に迷っていることだろうよ。御苦労さま、いい気味、ほほほ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
と若子さんは屈んで、グイッと
上前
(
うわまえ
)
を引いた。小宮君は
奴凧
(
やっこだこ
)
の形になって、よろける真似をした。馬鹿々々しくて見ていられないけれど、今更仕方がない。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ガラッ八の八五郎が、
薫風
(
くんぷう
)
に
懐
(
ふとこ
)
ろを
朶
(
はら
)
ませながら、糸目の切れた
奴凧
(
やっこだこ
)
のように飛込んで来たのです。
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
津田は
袖
(
そで
)
を通したわが姿を、
奴凧
(
やっこだこ
)
のような風をして、少しきまり悪そうに眺めた後でお延に云った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
奴凧
(
やっこだこ
)
のような恰好になり、それから先は板のように硬直して空間をしずかに流れていくのだった。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
心ない身も秋の夕暮には
哀
(
あわれ
)
を知るが習い、
況
(
ま
)
して文三は糸目の切れた
奴凧
(
やっこだこ
)
の身の上、その時々の風次第で
落着先
(
おちつくさき
)
は
籬
(
まがき
)
の梅か物干の
竿
(
さお
)
か、見極めの附かぬところが浮世とは言いながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
またこの秩父屋の
奴凧
(
やっこだこ
)
は、名優
坂東三津五郎
(
ばんどうみつごろう
)
の似顔で有名なものだった。
凧の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
奴凧
(
やっこだこ
)
が一つひっからまっていて、春のほこり風に吹かれ、破られ、それでもなかなか、しつっこく電線にからみついて離れず、何やら
首肯
(
うなず
)
いたりなんかしているので、自分はそれを見る度毎に苦笑し
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
仕丁 はあ、皆様、
奴凧
(
やっこだこ
)
が
引掛
(
ひっかか
)
るでござりましょうで。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
糸の切れた
奴凧
(
やっこだこ
)
のように、なぜそうからみ付くんだよ。(旅人に。)まあ、あなたから……。こんながらッ
八
(
ぱち
)
のサアビスじゃあお気に入りますまいけれど……。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
供えてあるたア、二三春も存外の知恵巧者だぜ。行く先ゃ奥山だ。
奴凧
(
やっこだこ
)
のようになってついてきな
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
きりきり舞いをした与吉は、糸の切れた
奴凧
(
やっこだこ
)
みたいにそのまま裏門からすっ飛んでゆく。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
奴凧
(
やっこだこ
)
や風船なら知らぬこと、重いトランクが横に吹き流れて行くとは思われない。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
奴凧
(
やっこだこ
)
、トンビ凧、
蝙蝠
(
こうもり
)
凧、剣凧の類、字凧は竜、鷲、魚、蘭の字など、絵凧は達磨、二見ヶ浦、日の出に鶴、乃至は人物の一人立、二人立、牛若、金太郎、頼光、凄いのは猪ノ熊や大入道、熊坂長範
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
源兵衛は両手を枝にかけたままで、
奴凧
(
やっこだこ
)
のように宙にゆらめいているのである。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三幕目は金助が鯱鉾を盗むところで、家橘の金助が
常磐津
(
ときわづ
)
を
遣
(
つか
)
って
奴凧
(
やっこだこ
)
の浄瑠璃めいた空中の
振事
(
ふりごと
)
を見せるのであった。わたしは二幕目の金助の家を書いた。ここはチョボ入りの
世話場
(
せわば
)
であった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
奴
常用漢字
中学
部首:⼥
5画
凧
漢検準1級
部首:⼏
5画
“奴”で始まる語句
奴
奴隷
奴等
奴僕
奴婢
奴輩
奴原
奴袴
奴姿
奴国