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ふりがな文庫
“
奇体
(
きたい
)” の例文
旧字:
奇體
所がその儘、車が動き出して、とつつきの横丁を左へ曲つたと思ふと、突然
歌舞練場
(
かぶれんぢやう
)
の前へ出てしまったから
奇体
(
きたい
)
である。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それからゆっくり、
腰
(
こし
)
からたばこ入れをとって、きせるをくわいて、ぱくぱく
煙
(
けむり
)
をふきだした。
奇体
(
きたい
)
だと思っていたら、また
腹
(
はら
)
かけから、何か出した。
さいかち淵
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
明治十六年に初めて札幌から山男になって東京に出てきました。その時分に東京には
奇体
(
きたい
)
な現象があって、それを名づけてリバイバルというたのです。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「
冷
(
ひ
)
えた
後
(
あと
)
などは一杯飲んで寝ると、
奇体
(
きたい
)
に小便に起きないから、まあやって御覧なさい」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが、かの女には、
奇体
(
きたい
)
に快くもあった。それでも、二、三度首をまげて、うしろを見たりした。山の側には、もうすっかり夜が這って、海にだけうすい白光が揺らいでいた。
あの顔
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
「や、こいつは
奇体
(
きたい
)
だ、樋口君、どこから買って来たのだ、こいつはおもしろい」
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
なあお子供衆のお腰に下げておおきやすと
奇体
(
きたい
)
に虫除けになりますそうでなあ方々からくれくれ言やはりますので皆あげてしまいましてなあもうこれだけより残っとりませんけれど——どうぞお持ちやして
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
どうしてこんな
奇体
(
きたい
)
な名前がついたのか、それをいちばんはじめから、すっかり知っているものは、おれ一人だと黒坂森のまんなかの
巨
(
おお
)
きな
巌
(
いわ
)
が、ある日
狼森と笊森、盗森
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
広い都を根拠地として考えている私は、父や母から見ると、まるで足を空に向けて歩く
奇体
(
きたい
)
な人間に異ならなかった。私の方でも、実際そういう人間のような気持を折々起した。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世にも
奇体
(
きたい
)
な名のない男!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
河
(
かわ
)
へ出ている広い泥岩の露出で
奇体
(
きたい
)
なギザギザのあるくるみの
化石
(
かせき
)
だの赤い
高師小僧
(
たかしこぞう
)
だのたくさん
拾
(
ひろ
)
った。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ところが
奇体
(
きたい
)
なことは、斯う云ったとき、又三郎が又
俄
(
にわ
)
かによろこんで笑い出したのです。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ずいぶん豚というものは、
奇体
(
きたい
)
なことになっている。水やスリッパや
藁
(
わら
)
をたべて、それをいちばん上等な、脂肪や肉にこしらえる。豚のからだはまあたとえば生きた一つの
触媒
(
しょくばい
)
だ。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
火が
燃
(
も
)
えるときは
焔
(
ほのお
)
をつくる。焔というものはよく見ていると
奇体
(
きたい
)
なものだ。それはいつでも
動
(
うご
)
いている。動いているがやっぱり形もきまっている。その色はずいぶんさまざまだ。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そのまっ赤な
眼
(
め
)
のくまが、じつに
奇体
(
きたい
)
に見えました。よほど
年老
(
としよ
)
りらしいのでした。
かしわばやしの夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
すると
奇体
(
きたい
)
なことは木樵はみちを歩いていると思いながらだんだん谷地の中に
踏
(
ふ
)
み込んで来るようでした。それからびっくりしたように足が早くなり顔も青ざめて口をあいて息をしました。
土神ときつね
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ところが五本のチェリーの中で、一本だけは
奇体
(
きたい
)
に黄いろなんだろう。そして大へん光るのだ。ギザギザの青黒い葉の間から、まばゆいくらい黄いろなトマトがのぞいているのは立派だった。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あすこへ行ってる。ずいぶん
奇体
(
きたい
)
だねえ。きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな。」と云った
途端
(
とたん
)
、がらんとした
桔梗
(
ききょう
)
いろの空から
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あすこへ行ってる。ずいぶん
奇体
(
きたい
)
だねえ。きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな」と
言
(
い
)
ったとたん、がらんとした
桔梗
(
ききょう
)
いろの空から
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
蛋白石のいいのなら、
流紋玻璃
(
りゅうもんはり
)
を探せばいい。探してやろう。
僕
(
ぼく
)
は実際、一ぺんさがしに出かけたら、きっともう足が宝石のある所へ向くんだよ。そして宝石のある山へ行くと、
奇体
(
きたい
)
に足が動かない。
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
するとその
奇体
(
きたい
)
な男はいよいよにやにやしてしまいました。
どんぐりと山猫
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
又三郎などもはじめこそはほんとうにめずらしく
奇体
(
きたい
)
だったのですがだんだんなれて見ると割合ありふれたことになってしまってまるで東京からふいに
田舎
(
いなか
)
の学校へ移って来た友だちぐらいにしか思われなくなって来たのです。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
奇体
(
きたい
)
だな。」と云いました。
十月の末
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
奇
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“奇”で始まる語句
奇
奇麗
奇蹟
奇怪
奇妙
奇異
奇特
奇矯
奇態
奇瑞