太平楽たいへいらく)” の例文
旧字:太平樂
多分本場のその幅十間、長さ四十間という大岩の上あたりで、飲みながら、わが道庵先生は、太平楽たいへいらくを並べているのだろうと米友が思う。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
このような太平楽たいへいらくを、何の屈託くったくもなしに平然と口にすることのできた自分の浅墓さに私はいきどおりをかんじないではいられぬ。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
其頃そのころ武内たけのうち富士見町ふじみちやう薄闇うすぐら長屋ながやねづみ見たやうなうちくすぶつてながら太平楽たいへいらくならべる元気がぼんでなかつた
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どうせこのまま海上に漂流していりゃ、じにするのがおちだろうから、恐竜島でもなんでもかまやしない、三日でも四日でも、腹一ぱいくって、太平楽たいへいらくを並べようや
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こめたはらよりぜに蟇口がまぐちよりいづ結構けつこうなかなに不足ふそく行倒ゆきだふれの茶番ちやばん狂言きやうげんする事かとノンキに太平楽たいへいらく云ふて、自作じさく小説せうせつ何十遍なんじつぺんずりとかの色表紙いろべうしけて売出うりだされ
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
こんな冗談交じょうだんまじりの話を、主人はいくらでも続けるので、宗助はやむを得ず或る辺までは釣られて行った。けれども腹の中はけっして主人のように太平楽たいへいらくには行かなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
繻打奴しゅすやっこ、相撲取などが懐から毛抜入れを取出し、五寸ばかりもあろうと思う大鑷でひげを抜き、また男達おとこだて牀几しょうぎに腰打掛けて大鑷で髯を抜きながら太平楽たいへいらくを並べるなどは、普通に観るところであるが
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
太平楽たいへいらくをいっておられるような、そんな暮しはお嫌いでございますか
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな太平楽たいへいらくを並べている中に
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
彼等三人がこの八日市の酒場へ逃げ込むと、そこには土間の大囲炉裏おおいろりを囲んで、定連じょうれん濁酒どぶろくを飲んだり、芋をつついたりして、太平楽たいへいらくを並べている最中でありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
僕はいくらこうして酒をんで太平楽たいへいらくを並べていたって、それだけはけっして忘れやしません
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんなことで以前よりは一層の太平楽たいへいらくを、露骨に見せるようになったのは困ったものであります。
この夜もまた、恋の勝利者だの、賭博の勝利者だのが集まって、太平楽たいへいらくを並べている。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
太平楽たいへいらくを並べて歩きます。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)