太儀たいぎ)” の例文
紋「うむ、今日きょうはお兄上様からお心入こゝろいれの物を下され、それを持参いたしたお使者で、平生つねの五郎治では無かった、誠に使者太儀たいぎ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……おゝ、脊中せなかが、脊中せなかが! ほんに貴孃こなたうらめしいわいの、とほとほところ太儀たいぎ使者つかひさッしやって、如是こんぬるやうなおもひをさすとは!
片付かたづけ支度致したくいたすに付て金銀の入用有べし太儀たいぎながら諸所へゆかれ金子を與へ給へとて二百五十兩相渡せしかば心得候と出行いでゆく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるほど少年せうねんはこれであらう、身体からだ沢庵色たくあんいろにふとつてる。やがてわけもなく餌食えじきたひらげて、ともいはず、ふツ/\と太儀たいぎさうに呼吸いきむかふへくわさ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしは今病中で、かうしてゐるのも太儀たいぎでならんのだから、早く帰つて貰ひたい
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
……あゝ、老人らうじんといふものは、んでゞもゐるかのやうに、太儀たいぎさうに緩漫のろ/\と、おもくるしう、蒼白あをじろう、なまりのやうに……
間違まちげえはなかろうけれども、わけえ者の噂にあんなハアうつくしい女子おなごがあるからうちけえるはいやだんべえ、婆様ばあさまの顔見るも太儀たいぎだろうなどという者もあるから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鮫鞘さめざやの大脇差わきざしを帶しさらしの手拭を首に捲付まきつけ門口へ出て何も太儀たいぎ今度は此の藤八が一世一代命をまとの願ひすぢ娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
付て物語りけるにぞ夫婦は旅のうさをも忘れ歩行あゆみもさして太儀たいぎに非ざれば流石は若き人心よき道連みちづれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)