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大戸
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おほど
其癖、ガラ/\と
又……
今度は
大戸の
閉つた
時は、これで、
最う、
家内と
私は、
幽明処を
隔てたと
思つて、
思はず
知らず
涙が
落ちた。…
お
品が
表の
大戸を
開けさせた
時は
日がきら/\と
東隣の
森越しに
庭へ
射し
掛けてきつかりと
日蔭を
限つて
解け
殘つた
霜が
白く
見えて
居た。
卯平は
先づ
勘次の
戸口に
近づいた。
表の
大戸には
錠がおろしてあつた。
鍵は
固より
勘次の
腰を
離れないことを
知つて
卯平は
手も
掛けて
見なかつた。
「おつかあ、
寒かなかつたか、
俺ら
知らねえで
居た」いひながら
大戸をがら/\と
閉めた。
闇くなつた
家の
内には
竈の
火のみが
勢ひよく
赤く立つた。おつぎは