夜通よどほ)” の例文
さてまた憑司は其夜昌次郎を立せやり草履ざうりに血の付たるをもちて傳吉宅へしのこみには飛石とびいしへ血を付置き夫より高田の役所へ夜通よどほしに往てうつた捕方とりかた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
明日あした屹度きつとるやうにいつてつたよ」勘次かんじはおしなみゝくちあてていつた。今更いまさらのやうに近所きんじよものたのまれて夜通よどほしにもくといふことにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まだ夜中にもならぬうちに家を出て夜通よどほし歩いた。あけがたに強雨がううが降つて合羽かつぱまで透した。道は山中に入つて、小川は水嵩みづかさが増し、濁つた水がいきほひづいて流れてゐる。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
夜通よどほし河の景色を見つつ起きてあかさんと云ひ給ふ君も無きにはあらずさふらひしが、私は船の進行すると同時に窓の開かれし船室に帰り、朝よりもてわづらひし𤍠ある身体からだを横たへ申しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さかほがひ、夜通よどほし遊び
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と云ふ良人をつとも眠さうである。この人は昨夜ゆうべ鼻加太児びかたるから発𤍠して苦しがつて夜通よどほし寝なかつたのである。私も心細くて起きたままで居た。伯林ベルリンは昼の十二時半に立つて来た。今は夜の九時過ぎである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)