夜中やちう)” の例文
こふに取次出來れば越前守申さるには夜中やちうはなはだ恐入存ずれど天下の一大事に付越前ゑちぜん推參すゐさん仕つて候何卒中納言樣へ御目通おめどほりの儀願上奉るむね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此處こゝ空屋あきやつてります……昨年さくねんんでましたつてなんえんもありませんものが、夜中やちうことわりもなしにはひつてまゐりましたんですもの。れましては申譯まをしわけがありません……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
殺される十日ほど前、夜中やちう合羽かつぱて、かさに雪をけながら、足駄あしだがけで、四条から三条へ帰つた事がある。其時旅宿やどの二丁程手前で、突然とつぜんうしろから長井直記なほきどのと呼び懸けられた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
云出し浴衣ゆかたのまゝ夜中やちうに飛出したり處は木曾の山中やまなかなり雨あがりに道は惡し行先は何やら勝手知れず其うへ飛出してから氣が付けば足の痛みありそして車は更なり家もなしドウも木曾山中の夜景は妙だとは酒の云せる譫語たはごとにて矢鱈やたらと豪傑がる拙者は
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
漸くに二人し事なれば吉之助にせる物なく其夜はみぎの三布蒲團を吉之助に着せ夫婦は夜中やちう辻番つじばんだいて夜をあかしけれども是にては主人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
のために、わざ夜中やちうけとくんですつて、不淨門ふじやうもん!……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
聞給ふとなりまことにありがたき事なり然るに當世たうせい奉行ぶぎやう役人やくにんは町人百姓を夜中やちうにてもかまはず呼出よびいだこしかけに苦勞くらう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)