報告しらせ)” の例文
しかしてたとへば報告しらせをえんとて橄欖をもつ使者つかひのもとに人々むらがり、その一人ひとりだに踏みあふことを避けざるごとく 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その翌朝未明、太田が家にては、下女の報告しらせに、夫婦が驚き『なにお園様が殺されてござるといふのか。馬鹿め、貴様はどうしてゐた』
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
先へ行くお艶の姿が掻き消すように消えて失くなるという怪談じみた報告しらせを齎して、皆しょんぼり空手からてで帰るのが落ちだった。
前に報告しらせも無かつたので、豫期しなかつた援軍が突然現れたやうな心持がして覺えず涙ぐまれる程嬉しかつた。
そこへ晩餐の報告しらせ階下したから聞えたので、皆なドヤドヤと下りて行ったが、勝代は一人後へ残って、二三度母の呼びたてる声を聞いてから、ようよう炬燵を離れた。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
失踪者の一にん、原田喜三郎の惨殺屍体したいが、造船工場からほど遠からぬ海上に浮び上ったと報告しらせを受けて、青山喬介きょうすけと私は、暖い外套を着込むと、大急ぎで工場までやって来た。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
喜介の報告しらせはこうであった。お色は一時に気抜けした。じっと首をうな垂れた。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お互いの首尾や報告しらせ、また、先の仕事の手順をしめし合せるつもりだから、それまでに、今夜籖できめた暗殺の仕事を、首尾よくやッて済ました者も、うまく行かずにいる者も、不面目を思わずに
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
領主 この書面しょめんにてそう申條まうしでうあかりったり、情事じゃうじ顛末てんまつをんな死去しきょ報告しらせまた貧窮ひんきうなる藥種屋やくしゅやより毒藥どくやく買求かひもとめてそれを持參じさんし、此處これなるをんなはかなかにて自殺じさつなさん底意そこいまで、明白めいはく相成あひなったわ。
斯の電報を銀之助に見せた時は、流石さすがの友達も意外なといふ感想かんじに打たれて、暫時しばらく茫然ぼんやりとして突立つたまゝ、丑松の顔を眺めたり、死去の報告しらせを繰返して見たりした。やがて銀之助は思ひついたやうに
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しばらく昏睡こんすい状患で横たわっていたが、見知りの村の衆に発見され、報告しらせによって弟やおいけつけ、しょって弟の家まで運んで来たのだったが、顔も石にひどくこすられたと見え、𩪼骨けんこつからほおへかけて
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)