ぼり)” の例文
もと豊後ぶんご杵築きつきの藩士で、大阪なかしまにあった藩の蔵屋敷の定詰じょうづめであったが、御一新ごいっしん後大阪府の貫属かんぞくとなって江戸ぼりに住んでいた。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
去年きょねんれ、ぼりへいったときに、おじいさんが、「新年しんねんは、三がにちあいだ懸賞けんしょうつきで、かんぶなをたくさんいれますよ。」
ある少年の正月の日記 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こゝに又遠州水呑村の先名主せんなぬし惣内夫婦は九郎兵衞が計ひに任せて江戸表へ出府なし靈岸島れいがんじまへんに國者の居るを便りて參り此者の世話にて八町ぼり長澤ながさは町の裏店うらだな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたくし一人が置いてけぼりをくって、退屈しのぎに泥いじりをしているところへ、丁度あなたが来て下すったのですから、まあゆっくりと話して行ってください。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「旅費は先生から借りる、外套がいとうは君から貰う、たった一人の妹はいてきぼりにする、世話はないや」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
バスケットに、等閑なおざりからめたままの、城あとのくずぼりこけむす石垣いしがきって枯れ残った小さなつたくれないの、つぐみの血のしたたるごときのを見るにつけても。……急に寂しい。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
午後になると、おいてきぼりといわれる錦糸堀きんしぼりの原っぱへ出かけて行く。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ぼり金魚きんぎょやこいがながされたろう。みずいたら田圃たんぼへいってみようよ。」
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
當時たうじ八町ぼり長澤ながさは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)