同衾ひとつね)” の例文
ようや身上みのうえの相談をして、お照は宅へ帰って、得心の上武田重二郎を養子にした処が、お照は振って/\振りぬいて同衾ひとつねをしません。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かはせし後にてあれば同衾ひとつねなさねど已に夫婦で有ると今故なく離縁されては吾女わたしは世間へ此顏が向られませねば如何なる越度をちど如何なる粗想そさうで離縁されしか其趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けがらわしい欲のあればこそこうなった上に躊躇ちゅうちょするわ、その顔を見て声を聞けば、かれら夫婦が同衾ひとつねするのにまくらを並べて差支さしつかえぬ、それでも汗になって修行をして
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わしだっても年頃になれば女房にょうぼを持たねえ訳にはいきません、此間こないだあんたが嬉しい事を云ったから女房にしようと約束はしたが、まだ同衾ひとつねをしねえのが仕合しあわせだから
けがらはしいよくのあればこそうなつたうへ蹰躇ちゆうちよをするわ、そのかほこゑけば、渠等かれら夫婦ふうふ同衾ひとつねするのにまくらならべて差支さしつかへぬ、それでもあせになつて修行しゆぎやうをして、坊主ばうずてるよりは余程よほどましぢやと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誰かと云うて顔色を変えて……迂濶うっかりした事は云えない、しかと是はと云うしょうもなし、何も僕がその密夫と同衾ひとつねていた処を見定めた訳では無いけれども、何うも怪しいと云うのは
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
武田重二郎は中根の家へ養子に来てからお照が同衾ひとつねないのは、何か訳があろうと考えを起して居ります処へ、家来傳助がこれ/\と証拠の文を見せたから、常と違って不埓至極な奴
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
池の端の弁天様へ、兄のあだを討たぬうちは決して良人おっとを持ちませんと命に懸けての心願である処へ、って養子をしろと仰しゃるから養子をしたが、重二郎とはいま同衾ひとつねを致しませんのは
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と到頭同衾ひとつねをしましたが、決して男女なんにょ同衾はするものでございません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)