古塚ふるづか)” の例文
又、萬有のすぐれてめでたき事もくうにはあらず又かのうつ蘆莖あしぐきそよぎもくうならず、裏海りかいはまアラルのふもとなる古塚ふるづかの上に坐して
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
夏草なつくさやつわものどもが、という芭蕉ばしょうの碑が古塚ふるづかの上に立って、そのうしろに藤原氏ふじわらし三代栄華の時、竜頭りゅうずの船をうかべ、管絃かんげんの袖をひるがえし、みめよき女たちがくれないはかまで渡った、朱欄干しゅらんかん
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしはあの夫婦とみちづれになると、向うの山には古塚ふるづかがある、この古塚をあばいて見たら、鏡や太刀たちが沢山出た、わたしは誰も知らないように、山の陰のやぶの中へ、そう云う物をうずめてある
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
友人久米くめ君から突然有馬の屋敷跡には名高い猫騒動の古塚ふるづかが今だに残っているという事だから尋ねて見たらばと注意されて、私は慶応義塾けいおうぎじゅくの帰りがけ始めて久米君とこの閑地へ日和下駄を踏入ふみいれた。
「知らん……こんな畑のなかの古塚ふるづかなどの由来は」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしはあの夫婦ふうふみちづれになると、むかうのやまには古塚ふるづかがある、その古塚ふるづかあばいてたら、かがみ太刀たち澤山たくさんた、わたしはだれらないやうに、やまかげやぶなかへ、さうものうづめてある
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)