取換とりか)” の例文
おい/\あのね、いま田圃たんぼまで出て肩を取換とりかへようと思つてやると両掛りやうがけいのでおどろいた、あんまり急いだので両掛りやうがけを忘れました。
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
盛衰記によると、清盛の実子でなく、当時の風習にまま行われた他人の子の“取換とりかえ子”であったともいう。年齢三十九。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義兄にいさんのうたほんをおみなさるのと、うつくしい友染いうぜん掛物かけもののやうに取換とりかへて、衣桁いかうけて、ながら御覧ごらんなさるのがなによりたのしみなんですつて。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もっともそれは彼女が例の柱にりかかって、その前を通る自分の顔を見上げるときに、時候の挨拶を取換とりかわすぐらいな程度に過ぎなかったけれども
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一度眼がさめると、小半次は若くて血の氣の多い正直者だ。主人の丹右衞門が四十七八といふ中老のくせに、取換とりかへ引つ換へ若い女をつれ込んで、それを
紀昌は根気よく、毛髪もうはつの先にぶら下った有吻類ゆうふんるい催痒性さいようせいの小節足動物を見続けた。その虱も何十匹となく取換とりかえられて行くうちに、早くも三年の月日が流れた。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
春琴居常潔癖けっぺきにしていささかにてもあか着きたる物をまとわず、肌着はだぎ類は毎日取換とりかえて洗濯せんたくを命じたりき。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この瘤は、じつをいえば、昨日、停電した家へ、一郎がいって、ヒューズの取換とりかえをやったが、そのとき、うっかりして、鴨居かもいへ、頭を、いやというほどぶつけたため、出来た瘤であった。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから蓮華れんげの花は開いたといい、または「かごめ・かごめ」という文句に取換とりかえたりしたのも、あんまり上手じょうずだから別に作者があったように考える人もあるか知らぬが、私たちは、なお
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
取換とりかへない白茶色しらちやいろ薔薇ばらの花。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ふちだけ取換とりかへて、娑婆しやばの事がうつる、ぼくこれだけ悪い事をしたなどとつていらツしやいます。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)