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卑陋
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ひろう
ふりがな文庫
“
卑陋
(
ひろう
)” の例文
例えば今私がここへ立ってむずかしい顔をして諸君を眼下に見て何か話をしている最中に何かの
拍子
(
ひょうし
)
で、
卑陋
(
ひろう
)
な御話ではあるが、大きな
放屁
(
ほうひ
)
をするとする。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は世の
卑陋
(
ひろう
)
さが
厭
(
いや
)
になって、世の中から引退していた。大なる知力と異常な芸術家的天分とをもっていながら、大芸術家となるにはあまりに繊弱だった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その内に偽善圧制
卑陋
(
ひろう
)
の多少横行するにもせよ、これ爾の
御名
(
みな
)
を奉ずる教会なれば我何ぞこれを敵視するを得んや、余の心余の祈祷は常にその上にあるなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
十月
朔
(
さく
)
。舟廻槻木ヲ
歴
(
へ
)
テ岩沼ノ駅ニ飯ス。名取川駅ノ東ヲ
遶
(
めぐ
)
ツテ海ニ入ル。
晡時
(
ほじ
)
仙台ニ投ズ。
列肆
(
れっし
)
皆
卑陋
(
ひろう
)
。富商
大估
(
たいこ
)
ヲ見ズ。独
芭蕉
(
ばしょう
)
衢
(
く
)
ノ屋宇
巍然
(
ぎぜん
)
トシテ対列スルノミ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然れども世は唯小善の人を以て治むべからず、尋常平凡の人物より成立ちし共和政治は最も
卑陋
(
ひろう
)
なる者なり。是故に世は英雄崇拝を要す。而して福沢君は之を教へざる也。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
▼ もっと見る
ベルナルドオが姫を得んと欲せしは
卑陋
(
ひろう
)
なる色慾にして、
縱
(
たと
)
ひ
渠
(
かれ
)
一たびその願の成らざるを憂ふとも、渠は月日を費すことなくして、その失望を慰めその遺憾を忘れしならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
わたくしの苦痛、悟性、正直、
卑陋
(
ひろう
)
、愚昧なんといふものが、次ぎのジエネレエシヨンの役に立たうといふものです。外の役に立たないまでも、戒めに位ならうといふものです。
笑
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
私はその老学者に深い尊敬を払っているが故に、そして氏の生得の高貴な性格を知っているが故に、その言葉の
空
(
むな
)
しい
罵詈
(
ばり
)
でないのを感じて私自身の
卑陋
(
ひろう
)
を悲しまねばならなかった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
卑陋
(
ひろう
)
な
賤民
(
せんみん
)
扱いにされていた小説等の散文学が、最近十八世紀末葉以来、一時に急速な勢力を得て、今や
却
(
かえ
)
って昔の貴族が、新しい平民の為に
慴伏
(
しょうふく
)
され、文壇の門外に
叩
(
たた
)
き出された。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
其調子の極めて
卑陋
(
ひろう
)
にして
醜猥
(
しゅうわい
)
無礼なるは、気品高き情交の区域を去ること遠し。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
恋愛は各人の
胸裡
(
きようり
)
に一墨痕を印して、
外
(
ほか
)
には見ゆ可からざるも、終生
抹
(
まつ
)
する事能はざる者となすの奇跡なり。然れども恋愛は一見して
卑陋
(
ひろう
)
暗黒なるが如くに其実性の卑陋暗黒なる者にあらず。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
恋愛は各人の
胸裡
(
きょうり
)
に一墨痕を印して外には見る
可
(
べか
)
らざるも、終生
抹
(
まっ
)
すること能わざる者となすの
奇蹟
(
きせき
)
なり。然れども恋愛は一見して
卑陋
(
ひろう
)
暗黒なるが如くに、その実性の卑陋暗黒なる者にあらず。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すなわち西洋人が相手の場合には私の
卑陋
(
ひろう
)
のふるまいを一図に徳義的に解釈して不徳義——何も不徳義と云うほどの事もないでしょうが、とにかく礼を失していると見て
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
所以者何
(
ゆえんはな
)
にといふに、諸芸術はこれを自由競争に一任するとき、その趣味の
卑陋
(
ひろう
)
に陥ることを免れざればなり。今の諸国の上流社会は、資産あるものと教育あるものと相分れたり。
亜米利加の思出
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この例は
卑陋
(
ひろう
)
であるかも知れないが、理解を容易ならしむる為めにいって見ると、ここに一人の男がいて、肉慾の衝動に駆られて一人の少女を
辱
(
はず
)
かしめたとしよう。肉慾も一つの本能である。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
仮令
(
たと
)
い斯くまでの極端に至らざるも、婦人の私に自力自立の覚悟あれば、夫婦相対して夫に求むることも少なく、之を求めて得ざるの不平もなく、筆端或は皮肉に立入りて
卑陋
(
ひろう
)
なるが如くなれども
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
地位職分を殊にする者が、この
卑陋
(
ひろう
)
なる一室に雑居して
苦々
(
にがにが
)
しき思をなさんより、高く楼に昇りてその室を分ち、おのおの当務の事を務むるはまた美ならずや。室を異にするも、家を異にするに非ず。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
卑
常用漢字
中学
部首:⼗
9画
陋
漢検1級
部首:⾩
9画
“卑”で始まる語句
卑怯
卑
卑下
卑猥
卑劣
卑怯者
卑賤
卑屈
卑近
卑吝