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せうふ
敗れたる
專門
棋士の
胸中や
果して如何に? どんな
勝負事も
背後に生
活問題が
裏附けるとなれば一そう
尖鋭化してくる事は明かだが
尤も、負けても
實はおごつて
頂く方が
多かつたがどういふのかこの
師弟の
勝負はとかくだれ
勝ちで、
仕舞ひには
兩方
共憂鬱になつて
從つて、今度の
實力主
義の名人
制度は、たとへ
幾分えげつない
感じはあつても、たしかに
棋界の
進歩といふべきであらう。何も
勝負だ、
戰ひだ。
無論、
私には
望みの
好敵手だつた。大正十三年から十四年への
晩を
除夜の鐘を
聞きながら、先生と
勝負を
爭つた事もある。
そして、
勝負をしながら
畫談を
聞かせて
頂いたりするのも、
私には一つの
樂みだつた。
然し、赤
阪に
移り住んでからは、
全く先生とも
會戰の
機を
得ない。
幸運悲運のけじめは
勿論あるとしても、
勝つ者が
勝つには
必ず當
然の
理由がある。
蹴落されて
憐憫を
待つ如き心
掛なら、
初めから如何なる
勝負にも
戰ひにも出る
資格はない
譯だ。