-
トップ
>
-
勘藏
>
-
かんざう
いや
放しませぬ
放されませぬお
前さま
殺しては
旦那さまへ
濟みませぬといふは
正しく
勘藏か、とお
高の
詞の
畢らぬ
内闇にきらめく
白刄の
電光アツと
一聲一刹那はかなく
枯れぬ
連理の
片枝は。
お
父樣にも
勘藏にも
乳母には
別しての
事いろ/\と
苦勞をかけまして
今更おもへば
恥かしいやらお
氣の
毒やら
幼心のあと
先見ずに
程のない
無分別さりながら
盡きぬ
命かや
事も
無く
助かりしを
此儘すぐにとそこ/\
身仕度して
庭口出でんとする
途端孃さま
今日もお
出かけか
何處へぞと
勘藏がぎろ/\
目恐ろしけれど
臆してなるまじと
態とつくる
笑顏愛らしく
今日もとは
勘藏酷いぞや
今日はと
言はねばてにを