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ぜんごさいう
やゝ
長めな
尾をぴよんと
刎ねた——こいつ
知つて
居やあがる。
前後左右、たゞ
犬は
出はしまいかと、
内々びく/\もので
居る
事を。
『お
浦、お
浦。』と
言つたが、
返事を
為ない。
雪枝最うきよろ/\し
出した、
其で
二足三足づゝ、
前後左右を、ばた/\と
行つたり、
来たり……
嫁の
姿で
彩色しては、
前後左右、
額縁のやうな
形で、
附添つて、
木を
刻んで
拵へたものが、
恁う
行くものか、と
自から
彫刻家であるのを
嘲ける
了見。
十六七
年を
過ぎました。——
唯今の
鯖江、
鯖波、
今庄の
驛が、
例の
音に
聞えた、
中の
河内、
木の
芽峠、
湯の
尾峠を、
前後左右に、
高く
深く
貫くのでありまして、
汽車は
雲の
上を
馳ります。