“前後不覚”の読み方と例文
旧字:前後不覺
読み方割合
ぜんごふかく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
などと考えたけれど夫人はいつも神経過敏で、容易に前後不覚ぜんごふかくおちいらなかったので、手術を加えても、その途中の疼痛とうつうは、それとたちまち気がつくことだろうと予測された。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こゑこもつてそらひゞくか、天井てんじやううへ——五階ごかいのあたりで、多人数たにんずうのわや/\ものこゑきながら、積日せきじつ辛労しんらう安心あんしんした気抜きぬけの所為せゐで、そのまゝ前後不覚ぜんごふかくつた。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちょうどその時刻、それまでは前後不覚ぜんごふかくであった馬糧小屋まぐさごや蛾次郎がじろうがおの上へ、草鞋わらじうらからはがれたような一かたまりの土が、しかもいている口のあたりへ、グシャリと、落ちたものである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)