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前垂
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まえだ
ふりがな文庫
“
前垂
(
まえだ
)” の例文
嫁のお民は、と見ると、この人は肩で息をして、若い母らしい
前垂
(
まえだ
)
れなぞにもはや重そうなからだを隠そうとしている。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
洋服
(
ようふく
)
のポケットや、
前垂
(
まえだ
)
れのポケットの
中
(
なか
)
にいれて、チャラ、チャラと
鳴
(
な
)
らしていましたが、いつのまにか、ヨシ
子
(
こ
)
さんの
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えなくなりました。
左ぎっちょの正ちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
下駄で、
前垂
(
まえだ
)
れがけの、
縞物
(
しまもの
)
の着つけの人ばかりの町だ。かわった
風体
(
ふうてい
)
のものが交ったって目にもはいりはしない。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
だからそれを
前垂
(
まえだ
)
れともエプロンとも云わないで、単にアマサンと称していた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まアお待ちよと言ったが、なかなか言うことを聞きそうにもないので、洗濯の手を
前垂
(
まえだ
)
れでそそくさと
拭
(
ふ
)
いて、前の縁側に腰をかけて、子供を抱いてやった。そこへ総領の女の児も来て立っている。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
しわの
寄
(
よ
)
ったてのひらに
銭
(
ぜに
)
を
並
(
なら
)
べて、
細
(
ほそ
)
い
指先
(
ゆびさき
)
で
勘定
(
かんじょう
)
しては、
前垂
(
まえだ
)
れの
中
(
なか
)
に
移
(
うつ
)
していました。
善いことをした喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
前垂
(
まえだ
)
れがけの下から八百屋で買って来た
牛蒡
(
ごぼう
)
と
人参
(
にんじん
)
を出してテーブルの上へのせておいたまま「これはお
菜
(
かず
)
です」とその野菜をいじりながら雑誌を一生懸命に読出したということや
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
このとき、
隣
(
となり
)
の
年
(
とし
)
とった
女房
(
にょうぼう
)
が、
粉雪
(
こなゆき
)
のちらちら
風
(
かぜ
)
に
舞
(
ま
)
う
中
(
なか
)
を、
前垂
(
まえだ
)
れを
頭
(
あたま
)
からかぶって
小走
(
こばし
)
りにやってきました。そして、
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
のすぐ
奥
(
おく
)
さまの
目
(
め
)
の
下
(
した
)
に
立
(
た
)
って、
小
(
ちい
)
さな
声
(
こえ
)
で
奥さまと女乞食
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「まあ、こんなに、ありがとうぞんじます。」と、
女房
(
にょうぼう
)
はいって、かぶっていた
前垂
(
まえだ
)
れをとって、その
中
(
なか
)
へ
米
(
こめ
)
をいれてもらいました。
風
(
かぜ
)
は、
女房
(
にょうぼう
)
の
灰色
(
はいいろ
)
がかった
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
吹
(
ふ
)
いています。
奥さまと女乞食
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きよは、
泣
(
な
)
いたりして
恥
(
は
)
ずかしいと
思
(
おも
)
ったので、
前垂
(
まえだ
)
れで、
涙
(
なみだ
)
をふきました。
気にいらない鉛筆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“前垂(前垂れ)”の解説
前垂れ(まえだれ、江戸方言では「まえだら」とも)もしくは帆前掛(ほまえかけ)は、商家にはたらく人や女中などが衣服に汚れがつかないよう、帯から下に掛ける布のこと。単に前掛けと呼ぶこともある。
(出典:Wikipedia)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
垂
常用漢字
小6
部首:⼟
8画
“前垂”で始まる語句
前垂掛
前垂姿
前垂帶
前垂形
前垂懸