出來心できごころ)” の例文
新字:出来心
が、うちもんをはひらないまへに、かれはからつぽになつた財布さいふなかつま視線しせんおもうかべながら、その出來心できごころすこ後悔こうくわいしかけてゐた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
出しても其手は勿々なか/\くはぬ夫よりは御前方も一文もらひの苦しまぎひんの盜みにこひの歌とやら文右衞門さんが不※ふと出來心できごころにて盜まれしと言つた方が罪がかるい其所はわたしが心一つで取計らひ質を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それがくせのいつものふとした出來心できごころで、銀座ぎんざ散歩さんぽみちすがら、畫家ぐわかをつとはペルシア更紗さらさ壁掛かべかけつてた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
きくに喜八はしうため妻を奉公に出し其給金にてしち請出うけだし八十兩の金を見て不※ふと出來心できごころより其夜忍び入りて伊兵衞と云へる盜賊に右の八十兩をもらひしまでありのまゝつぶさかたりけるにぞ家主は始めて是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
知れし者と見ゆ殺害致したる上全く金子きんす出來心できごころにてぬすみ取し者ならん然れば豫々意趣いしゆ有者の所行しわざと思ふなり然樣さやうなる心當りも有ば包まず申立よと有に平吉はおそる/\かしらあげ親共儀は平生へいぜい慈悲じひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)